2023年04月22日 石川県輪島市 のとキリシマツツジオープンガーデン各所
能登半島の初夏を彩る色って、何色をイメージしますか?
能登の里海の美しい青、あるいは里山の若々しい緑なんかがいかにもマッチしそうですが、実は情熱の深紅も能登の初夏を代表する色だってご存知でしたか?4月中旬から5月中旬の能登半島に一度来てみれば、その理由が分かると思います。
その赤色は「キリシマツツジ」という花の色。能登半島では非常に多くのご家庭やお寺のお庭にキリシマツツジが咲き乱れていて、一部のお庭を一般向けに開放して能登の初夏の風物詩を多くの観光客に楽しんでもらおうというイベント、「のとキリシマツツジオープンガーデン」が繰り広げられます。
この春、初めてオープンガーデンを鑑賞してきたのですが、いやはやどのお庭のキリシマツツジも素晴らしいの一言!

「奥能登」と言われているエリア、すなわち珠洲市、輪島市、能登町、穴水町の2市2町において、いったいどのくらいの数のお庭がオープンガーデンとして公開されているかご存知でしょうか?
10や20じゃございません。その数なんと62か所!(2023年シーズン)
お庭によって見頃の時期がマチマチなので、見頃スポットを事前に調べて効率よくそれらを回る必要があります。どこのお庭が見頃で、それをどんな順番で見ればいいか、それを決めるのもオープンガーデンの楽しみ方の一つだと思います。
また、実に様々なシーンでお花が咲いています。お寺や神社の境内もあれば、一般家庭のお庭もあるし、道の駅や空港、あるいは大規模な公園や植物園もあります。いろんな種類のお庭を狙って、お気に入りのキリシマツツジを探すのも楽しいものです。

ってなワケで、今回は奥能登の初夏の風物詩、のとキリシマツツジオープンガーデンの様子を2回に分けてお伝えしたいと思います。ちなみに前編では少し早めの4/22に輪島市を訪ねた時の様子、また後編では大型連休真っ只中の5/3に穴水町・能登町を訪ねた時の様子になります。
ご参考にしていただければ幸いです。

事前にどこが見頃かを調べよう
奥能登の60か所以上のキリシマツツジが公開される「のとキリシマツツジオープンガーデン」を訪ねる際、まず最初に今どこのお庭が見頃になっているかを調べる必要があります。見所が60個以上もあるとは言え、能登半島は結構広いので、なるべくならあっち行ったりこっち行ったりで無駄に時間を潰したくないもの。
出かける前にまずは「このサイト」とか「このサイト」を経由して、オープンガーデン特設サイトにアクセスし、今どこが見頃なのかをチェックしておくのが無難です。
ちなみに一つのお庭での見頃は1週間から10日ほど続くんですが、場所によって見頃がずれるので、奥能登全体で見ればおよそ1ヶ月間はどこかで見頃になっているらしい。少し早いかも、あるいは少し遅いかも、と思っても、諦めずに見頃のお庭を探してみると案外あるかもしれませんね。
そして現地入りしてからも見頃かどうか判断する仕掛けがあるんです。それは下の写真の幟。見頃を迎えたお庭では、このような幟を道路から目立つところに立てるそうなので、これを目印にすれば道案内になるだけでなく、今見頃かどうかも分かるってワケです。

オープンガーデン開催時期に能登の国道や街道を何気なく車で流していると、必ずどこかでこの幟を見かけると思います。見かけたら是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
輪島市稲舟町 玉木家(稲舟庭園)
さて、僕がまず最初に訪ねたのは、輪島市の国道から少し山に入ったところにある玉木家(稲舟庭園)です。これがのとキリシマツツジとの初めての出会いでした。
各オープンガーデン前には下の写真のような看板が必ず掲げられています。何という名前のお庭なのか、またパンフレットで言うところの何番のお庭なのかが分かります。またこの看板の足元とかにパンフレットやスタンプラリーの台紙が置いてあったりするので、初めてのお庭では是非パンフレットをGETするのをオススメします。大きな地図やお庭の写真が確認できるのでありがたいですよ。

よく手入れがされたお庭に、立派なキリシマツツジの株がいくつも。想像していたよりも鮮やかな赤ではないか!
そして赤だけじゃなくピンクや紫のキリシマツツジもあって、それらが青空の下新緑に映えている。本当にカラフルな景色でビックリしました。



話には聞いていたけど、実際に目で見てみるとその深紅の鮮烈さに驚きます。
これがキリシマツツジという花か!なるほど、これを目当てに能登を訪れる人が多いのもナットクです。
僕の住む街ではあまり見かけない花だし、ここまで赤い花って他にそうそうないですよ。なので網膜がビックリしています(笑)。

もともとは九州・鹿児島の霧島山に自生していたツツジを、江戸に持ってきて園芸用に改良を重ねたのが「キリシマツツジ」。能登を含む全国各地に広がりを見せたものの、樹齢100年を超える古木が今も500本以上残っている地域は能登半島だけなんだとか。しかも各ご家庭で一本一本大切に育てられているというのも能登独特なんだそうです。
こちらに咲いているキリシマツツジは樹齢どれだけのものかは分かりませんが、大切に育てられているなというのはヒシヒシと伝わってきます。

一般のご家庭にしては大変立派な庭園でした。ご主人の庭づくりへの愛も伝わってきます。
このお庭ではキリシマツツジが主役なんでしょうが、それを引き立てるための様々なオブジェがいい味出しています。


輪島市河井町 重蔵神社
お次は輪島市の中心部にある重蔵神社に来ました。
輪島と言えば朝市ですが、重蔵神社は朝市通りからも近いので、輪島観光のついでに立ち寄りやすいスポットだと言えます。また夏に行われる輪島大祭というお祭りの舞台にもなる有名な神社です。

この神社は1300年の歴史を誇る古社らしく、のとキリシマツツジがなくても写真映えしそうな立派な本殿が特徴です。

パンフレットには「能登では珍しい三色キリシマが見られる」と」書いてあり、添えられていた写真には赤・ピンク・白の花が写っていたのですが、その三色キリシマがどれかが分からなかった(^^;。
でも本殿の横にある2本の立派な深紅のキリシマツツジだけでも十分見応えがありました。



重蔵神社のすぐ隣には「重蔵神社宮司庭」というお庭も。
ここものとキリオープンガーデンの一つのはずなんですが、なぜかこちらのお庭には入ることができなかったので、外からパチリしました。
ここのキリシマツツジも立派だよなぁ。

輪島市里町 今寺家
複数のオープンガーデンが狭いエリアに集まっているところもあります。
僕が訪ねたこの時に見頃のお庭が集中していたのは輪島市の里町という集落。県道277号(柳田里線)沿線で、パンフレットによればこの道沿いだけで10ヶ所ほどのオープンガーデンが集中していて、とにかく数をこなしたいなら攻略したいところ。
中でも今寺家のお庭のキリシマツツジは思っていた以上に規模が大きくて、この日立ち寄ったオープンガーデンの中では一番圧巻でした!

パンフレットに記載されていたコメントは「色々なツツジも咲いています」とだけ書かれていてちょっと控えめな印象を受けました。もともとここを訪ねる予定ではなかったんですが、たまたま道路から真っ赤なキリシマツツジのお庭が見えたので、慌てて車を止めて見させていただくことにしました。
家屋の裏山みたいなところの傾斜を活かした庭にキリシマツツジが植えられていて、杉の木立との組み合わせも綺麗でした。


お庭の中に続く小径はちょっとしたキリシマツツジのトンネルをくぐるかのようで、迫力ある赤の世界!これならパンフレットにも「深紅のトンネル」とか、そんな挑戦的なフレーズを躍らせても良かったんじゃないかと思いました。
この今寺家に来る前はどちらかというと小綺麗なキリシマツツジが中心でしたが、今寺家のキリシマツツジはいい意味でワイルド路線。「これがのとキリシマツツジの本気のセカイなのね」と、僕の脳裏に深く刻まれたスポットでしたね~。




輪島市里町 仲泉家
今寺家と同じ道沿いにある仲泉家にも立ち寄りました。車で1分も走らないところに別のオープンガーデンがあったり、中にはお隣さん同士がオープンガーデンってところもあります。まぁお隣さんと言っても間隔は結構ありますけどね。

仲泉家のオープンガーデンは、「いかにもオープンガーデン!」といった趣のお庭でした。
まぁ僕にとっては今回が初の「のとキリシマツツジオープンガーデン」なので、「いかにも」って言葉を使うのは少し変かもしれませんが、まだ実物を見ぬ時に最初に脳内で勝手にイメージしていたオープンガーデンに最も近い感じでした。広々とした明るいお庭に深紅のツツジが咲いていて、ほんの少し洋風に振ったようなお庭。「オープンガーデン」って言葉(しかも英語)を使っているからそんなイメージになるんでしょうけど。
また、こちらは道路からとにかくよく見えます。オープンガーデンを見に来たワケではなくても、つい車を止めたくなるスポットかもしれません。


古風な蔵とのコラボレーションもいい感じ!

キリシマツツジが咲く頃は田植えの季節でもあるのかな。
能登のあちこちで秋の収穫に向けた本格的な準備作業が進められていました。

輪島市里町 上梶家
この日最後に訪ねたのは、上梶家のオープンガーデンです。
パンフレットの説明文によれば、100年レベルの株が5本、15年レベルの株が20本程度あるとのこと。

綺麗に手入れがされた日本庭園でした。
広いお庭ですが、とは言えありのままの個人宅の庭ですから、すぐそばには個人の方の居住ゾーンがあるわけで。この時は僕以外に鑑賞者がいなかったこともあってなんとなく不法侵入しているようで罪悪感ハンパないw。


赤とピンクのキリシマツツジ。
このように深紅だけではなく違う色が楽しめるのもいいよね。深みが増すというか。

縁側っぽいところからお庭を眺めてみます。
赤の他人の家のお庭で、しかも特等席からお庭を拝見しているワケです。普通なら絶対にありえないことですよね。オープンガーデンに協力してくださっている方々のおかげで、こうして美しい風景を楽しむことができるのは、感謝しなければ。

こちらの株はこのお庭の中でも指折りの立派さだったので、もしかしてこれが100年モノなのかな~と思いながらパシャリ。違っていたらゴメンナサイ。
この株には雪吊りが施されていました(ひょっとすると、冬だけでなく一年中こうやって枝を支えているのかもしれませんが)。キリシマツツジは放っておいても花をつけてくれず、鑑賞するためには一年を通して手入れする必要があるとのことです。奥能登の山間部は冬は比較的雪が多く積もる地域なので、このような雪対策も結構大変なんでしょうね。

ってなワケで、奥能登の初夏の風物詩、のとキリシマツツジオープンガーデンの様子でした!
オープンガーデンを見るために二度奥能登を訪ねたのですが、そのうちの1回目の様子でした。今年は春先の気候が温暖だったため桜やチューリップが思いのほか早く咲いた年でしたが、キリシマツツジも同様に早く、例年よりも1週間程度見頃が前倒しになったそうですよ。
もし今年も例年通りの進み具合だったなら、今回訪問した日ではちょっと早かったかもしれません。なるべく失敗を避けたいなら、ゴールデンウィーク中に訪れるのがいいかと思います。

さて、次回は2回目の訪問の様子をお伝えしますが、この2回目の訪問の翌々日に能登半島を震源とする最大震度6強の地震が奥能登を襲いました。僕が今年巡ったオープンガーデンの中に、もしかしたら大なり小なり被害を受けたところがあったかもしれないと思うと、心が痛みます。
被害に遭われた能登の方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、いち早くの復興をお祈り申し上げます。
<のとキリシマツツジオープンガーデン>
【駐車場】あり(無料ですがスペースが狭いところもあります)
【入場料とか】無料
【所要時間】1ヶ所20分
【地図】
【リンク】
うぇるかむ奥能登(時期になると特設サイトが開設されます)
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