浜に打ち上げられたヒスイが採れる「ヒスイ海岸」が中でも有名ですが、それらヒスイの生まれ故郷にあたる地に、なかなか素晴らしい絶景が見られる場所があるので、新緑萌える初夏に訪ねてみました。
高浪の池と明星山!
初夏に訪れると良いですよ、とガイドブックなどで紹介されていますが、その通りです!
翡翠色の絶景が見事でした。

そして自然が作り出した非常に壮大な芸術品、明星山の大岩壁も見事!
そのド迫力に、僕ら人間のちっぽけさすら感じます。

ってなワケで、今回の記事は初夏の糸魚川の絶景の地、高浪の池とその周辺にある明星山やヒスイ峡のお話です。
山とか谷とか池とか、そういう自然が作り出した景色が楽しめる場所は北アルプスの上高地などが有名ですが、糸魚川にもそれに勝るとも劣らない絶景があったことを最近まで知りませんでした。
フォッサマグナを中心に地理的な見所が満載の「糸魚川ジオパーク」の目玉とも言える景勝地の様子をお伝えします。

2023年04月28日 新潟県糸魚川市 高浪の池・ヒスイ峡
新緑萌える4月の下旬、糸魚川市の山地にある美景を求めて車を走らせました。
今回訪ねたのは水辺と山岳美の見事な共演で知られている「高浪の池」。糸魚川の中では親不知海岸と並んで「車で行ける絶景ポイント」の代表なんじゃないかと僕は思っています。
糸魚川ICや糸魚川駅がある市中心部から国道148号を白馬・松本方面にしばらく南下し、途中県道483号(山之坊大峰小滝線)に入ってさらに林道平山線を走ります。糸魚川中心部からは車でだいたい30分ほどですが、道中ちゃんと案内もあるので初心者でも迷うことはないと思います。
新緑の林道を走っていくと・・・

いきなりですが今回最も見たかった絶景スポットが現れました!
この場所は「高浪の池展望台」と名づけられています。標高はおよそ600m。車が2~3台止められるほどの路肩スペースなんですが、ここから見えるのは真正面にドーンと聳える明星山と水を湛えた高浪の池のコラボレーション。新緑まぶしいヒスイ色のとても美しい光景でした。
僕がこれを初めて目にしたのは3年前なんですが、その時は曇り空だったもののここが日本であることを忘れそうになるくらいのインパクトを受けましたね。いつか晴れた日にまた訪れたいと思いましたが、この日実現しました!


明星山(「みょうじょうさん」と説明されることが多いけど、「みょうじさん」と呼ぶのが本当らしい)は標高1188mの石灰岩でできた山で、険しく白い岩肌が特徴。あまりにも険しいため樹木が少なく、その白い岩がむき出しになっていて、とにかく目立つしめちゃくちゃ迫力ある!この付近のランドマーク的存在と言えます。
この白い岩壁を真下から見上げられる展望スポットがあり、後ほどそちらも立ち寄ろうと思います。

高浪の池の畔にはキャンプ場が整備されていて、広い駐車場もあります。
池のすぐそばまで車で近づくことができて、絶景の割になかなかのお手軽スポット。

周りにはロッジやシャレオツなレストハウス、グランドゴルフ場があって、そこそこリゾート感あり。
ちなみにここに至る県道や林道は冬の間通行止めになります。だいたい大型連休前には除雪を終えて開通するみたいなんですが、たまたま僕が来たこの日は冬季閉鎖が解除された初日だったみたいで、お店やキャンプ場の今シーズンのオープンを翌日に控えていた時でした。


高浪の池は標高540mほどにあるいわゆる「堰止湖」という部類の湖沼。すぐそばにある赤禿山で発生した大規模な地滑りによってできたすり鉢状の土地に、雨水や地下水が溜まって池になったと言われています。周囲は800mで深さは最も深いところで13m。
散策マップを見ると、湖畔に遊歩道が整備されていて15分ほどで1周できるみたい。せっかく来たんだから遊歩道を歩いて池を1周してみよう!

上の写真の案内マップ、よく見ると池に大きな魚の影が描かれていますが・・・。
真偽は定かではありませんが、この池には「浪太郎」と名づけられた巨大魚が生息しているそうで、公式の案内板にもその記述があります。体長4mにもなる魚らしいですよ。
ネス湖のネッシーとか池田湖のイッシーとか昔からこのテの話は尽きないけど、浪太郎はどうなんでしょ?巨大モニュメントを作ってしまうくらいですから、本気で「いる」と考えている節もあるみたいです。

ってかさ、このくらいの大きさや深さの池であれば潜って調べなよとも思いますが、そこを敢えて調べずに伝説としておくのがこの世界のルールですかねw
・・・と若干醒めた目で見つつも、でもちょっとだけ浪太郎の魚影を意識しながら、池の畔を歩きます。
ちょうど新緑が芽吹いた頃で、明るいヒスイ色の世界がホント綺麗。それに初夏の高原の空気が暑すぎず寒すぎずちょうどよい体感なので、湖畔のウォーキングが全く苦になりません。もしかして高浪の池的に一番いい時に来られたんじゃない?





そして、この池の代表的なシーンとも言える高浪の池越しに見る明星山がこれまたGood!
若干風があったせいか水面にさざ波が立っていたので僕は見られなかったけど、早朝などのシーンと静まり返ったタイミングでここに来ると、明星山がクッキリ池の水面に映るそうです。いつかそんな「逆さ明星山」の絶景も眺めてみたいものですが、まぁこれだけでも十分綺麗だし満足ですよ。




残雪の越後の山並みもいいですね。
今シーズンこの高浪の池に一般人が近づけるようになったのはこの日(4/28)からです。それと入れ替わるように山並みの雪は消えていってしまうので、こういう残雪の景色を眺められるのはごく短い間だけなんじゃないかと思います。

池を一周している間に、池の周りがなんだか急に賑やかになりました。どうやら地元の小学生たちが遠足で来たみたいで、広場で遊んだりお弁当食べたりしていました。
子供たちの元気な声が響きます。一人で池の畔を歩くのは正直ちょっと心細い面もあったんですが、子供の声が聞こえきたおかげでこちらも安心して散策ができました。

さて、続いて高浪の池から車で15分ほど走ったところにある、明星山の大岩壁を見上げる展望台へ向かいましょう!
展望台は「ヒスイ峡」で知られる小滝川の上流にあり、車で行くことができます。高浪の池とセットで訪れることをオススメしたいです。
明星山の雄姿を樹間に眺めながら、谷をどんどん降りていきます。

駐車場で車を降りると・・・
目の前にはこの絶景!
明星山の岩壁大迫力!

初めてこれを目にした人は、きっとビビると思いますよ。
先ほど高浪の池から見えていた白く聳える岩が目の前に!写真だとうまく伝わらないかもしれませんが、とにかくスケールがデカいんです。しかもそんな異次元の光景が車を降りてすぐに見られるのもすごい。

こちらが展望台の様子です。
展望台からは明星山の大岩壁だけでなく、ヒスイ色に包まれたヒスイ峡も見下ろすことができます。まさに絶景スポット!

案内板によれば、小滝川の谷底から岩壁のてっぺんまでの高さは実に440mもあり、東京タワーや2028年に完成予定の日本一高い「トーチタワー」を凌ぐ高さ。その垂直に切り立った断崖絶壁が谷を挟んだ目の前に見上げることができます。もうため息しか出ません。
それにここはどうやらロッククライミングの名所であるらしく、夏になるとこの断崖絶壁に真正面から挑む猛者の姿も拝めるんだとか。下の写真にもありますが、こんな絶壁を登るなんてちょっと信じられないです。ロッククライマーは何考えてんだ(笑)(誉め言葉です)

展望台から見上げる明星山の大岩壁。
実はこれは岩壁のおおよそ上半分に過ぎず、下の谷底までまだまだ続きます。写真には収まりきらない・・・。

そして、糸魚川のヒスイ海岸に打ち寄せるヒスイの生まれ故郷が、この小滝川の峡谷です。
その名も「ヒスイ峡」と呼ばれていて、名前だけでなく実際巨大なヒスイの原石がゴロゴロしていることでも有名です。なお、現在はこの峡谷のヒスイ産地は国の天然記念物に指定されているので、河原でのヒスイの採取は厳禁です。

深い谷ではありますが、大岩壁に比べると緑多く大変穏やかな峡谷美って感じ。新緑に包まれた山、そしてその頂には残雪、初夏らしい素晴らしい光景でした。
ヒスイ峡は遊歩道が整備されていて、この展望台のすぐ近くから谷に降りられるみたいですが、残念ながら今回はそちらはパスしました。でもこの景色を眺められただけでも満足です。


最後に、大岩壁をバックに落石通行止の看板w
本来であればこの先も道が続いていて国道148号に出られるはずなんですが、落石による通行止のため高浪の池へ引き返すルートしかとれないのが残念。来た道を戻るのはなるべくなら避けたいところですが、こればっかりはしかたないよね。
でも高浪の池にヒスイ峡など、主要な見所にはちゃんと車で行ける道が確保されていることには感謝しなければなりません。

ってなワケで、糸魚川の絶景地、高浪の池と明星山、そしてヒスイ峡でした。
景色がとても綺麗なのは言うまでもないことですが、その景色が生まれた理由とか、翡翠やフォッサマグナについて少し興味を持って訪ねてみると、より味わい深いんじゃないかと思います。糸魚川の絶景はそういう学習もできるのが他とは違うなと思いますね。
今回の記事ではそこまで詳しくは触れませんが、この近くに「フォッサマグナミュージアム」という資料館があるので、そこを少し覗いてから向かうと絶対に面白いと思う!おすすめします。
糸魚川の海岸、親不知もオススメです!

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<高波の池>
【駐車場】あり(無料)
【入場料とか】無料
【所要時間】40分
【地図】
【リンク】
高浪の池(にいがた観光ナビ)
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