以前紅葉の時期にこの山を訪れた際の記事で、「ここは展望が素晴らしい」みたいなことを言っておきながら、その時は曇り空で全然展望が良くなかったのが残念でした。いつかは最高の眺望を楽しみたい、そしてその絶景を皆さんにも伝えたい!そう思っていました。でも石川県から北アルプスまで眺められるほど条件のいい日って、そんなに多くはないんですよね。
ところが!意外にもその日はすぐに訪れました!しかも北アルプスや立山連峰だけではありません。
なんと乗鞍岳までクッキリ見えちゃってました!

宝達山山頂に立ってびっくりしました。
宝達山から穂高岳なら見えると聞いていたけれど、まさか乗鞍岳まで見えるなんて。お天気的な条件がどうのというよりも、どちらかと言うと地形的な理由で乗鞍岳まで見通すのは無理だろうなと思っていたんですが・・・、結構見えるもんなんですね、新発見でした!
北は白馬から、立山・薬師を挟み、南は槍や奥穂まで、地形的・理論的に見えるはずの山のほぼ全てが見えるほど、この日は天気が良く見通しが最高でした。
そんなワケで、今回の記事は極上の日に能登半島の宝達山山頂から眺めた北アルプスの展望をお伝えいたします!

これほどの展望が得られる日はそんなに多くはないと思う。
ましてや、普段仕事をしている自分が行ける日とぶつかることはさらに少ない。本当にいいタイミングに出会えたなぁって思いました!
ってなワケで、今回の記事は宝達山頂から眺めた北アルプスの峰々の様子をお伝えします!
2022年11月25日 石川県羽咋郡宝達志水町 宝達山頂
日本海に突き出た能登半島。その付け根にあたる宝達志水町に、高さ637メートル、能登半島最高峰の宝達山がそびえます。地域で最も高い山なので眺めはすこぶる良好で、よく晴れた日には眼下に日本海や富山湾、そして雄大な北アルプスの展望が楽しめます。
山頂からの絶景を楽しむためには、別に歩いて登山なんかする必要は全くなくて、山頂までスイスイと車で直接乗り付けられるというのがありがたい。天気がいい日にふと絶景を見たくなったら、何も気負うことなくドライブの延長で宝達山の山頂に立つことができるんです。
冬季は除きますけどね。
この日は11月下旬。天気が抜群によくて北アルプスの展望が綺麗だろうことが容易に予想できたため、宝達山頂を目指すことにしました。
山頂へ向かう道の途中、時々麓の能登や日本海の景色が広がるのですが、霞が少なくて景色はサイコー!これは期待が持てるぞ。

下の写真は能登半島西海岸、羽咋市や志賀町方面です。
ぴょこんと突き出た山は標高341メートルの高爪山(たかつめやま)で、その姿から別名「能登富士」とも呼ばれています。宝達山から高爪山までの直線距離はだいたい50kmほどです。

いよいよ宝達山頂に着きました!
山頂展望台は三角点の真横にあり、その標高は637メートルで「東京スカイツリーよりも若干高い」というのがウリ。この写真では敢えてボカしましたけど、バックの北アルプス立山連峰がめちゃくちゃ綺麗に見えてます。

北アルプス方面、素晴らしい眺めだ!
時刻は15時少し前くらいで、太陽はいくらか西に傾いてます。一方宝達山から見た北アルプスは東の方角にあたるため、素直な順光になるんですね。朝のご来光でも見ない限り、宝達山から北アルプスを眺めるなら午後がいいでしょう。
11月下旬になるとだいたい標高2500メートルよりも上は雪を被っているので、青空と白い雪とのコントラストがクッキリしていて、青いキャンバスに見事な稜線を描いているのが分かります。

眼下には富山県の二大都市。手前には高岡市街、そして呉羽丘陵を挟んだ奥には富山市街が広がり、両都市を北陸新幹線が結んでいます。
ちなみに呉羽丘陵は標高はそれほど高くないけれど、富山県を東西に分ける重要な地形。呉羽丘陵の手前(西側)が呉西(ごせい)、奥(東側)が呉東(ごとう)と呼ばれていて、富山県内では割と一般的にこの呼び方が使われていたりします。天気予報でもだいたいこの呉羽丘陵を境に富山県西部/東部に分かれています(厳密には違うけどね)。

では、宝達山山頂から北アルプスをじっくり見てみましょう。
北寄りには白馬岳(2932m)・白馬鑓ヶ岳(2903m)など後立山連峰がクッキリ見えています。白馬岳は雪がよく着くのかとても真っ白で、冬は特に目立ちます。ちなみに白馬岳は富山県と長野県の境に位置し、宝達山からの直線距離は85kmになります。
もう少し右(南)のほうに目をやると、後立山連峰の稜線とは異なり、より手前側に連なる立山連峰の稜線が続きます。ニョキニョキニョキと3つ仲良く並んだ山は、毛勝山(2415m)、釜谷山(2415m)、猫又山(2378m)からなる毛勝三山。さらにその右には誰が見てもすぐに分かる剱岳(2999m)の険しい山容。

北アルプスも素晴らしいですが、人間が作った巨大構造物もよ~く見えました。
一番目立っていたのが射水市にある新湊大橋。そして青と白の二つの塔が並んでいるのは北陸電力富山新港火力発電所。そのもう少し奥には北陸電力富山火力発電所の塔も見えています。これらは富山湾(魚津)で蜃気楼が発生したとき、形が歪むことで発生を教えてくれる建造物群で、蜃気楼の写真に必ずと言っていいほど写っているから割と有名かもですね。
これら富山湾岸の上に、高さ2800m~2900mの真っ白な白馬連峰が屏風のように連なっています。

高岡や富山の市街地の上には、剱岳(2999m)、立山(3015m)など立山連峰の主役たちが連なります。
「立山」という名前の山は本当は存在していなくて、大汝山(3015m)、雄山(3003m)、富士の折立(2999m)の三つの峰の総称を「立山」と呼んでいる、というのは有名な話。同様のケースに八ヶ岳とか白山とか乗鞍岳なんかが挙げられますが、日本の高い山、特に周りよりも一段高い独立峰は、たいてい同じですかね。下の写真でも、やや平べったい立山の頂上部をよく見ると、左から富士の折立、大汝山、雄山の3つのピークがなんとなく確認できます。
ちなみに宝達山から立山までは直線距離で75km。宝達山から見える北アルプスの峰々の中で、立山は比較的近い部類に入ります。

立山からさらに右(南)のほうに目をやると、薬師岳(2926m)、水晶岳(2986m)、鷲羽岳(2924m)、黒部五郎岳(2840m)など、黒部川源流の峰々がよく見えました。
薬師岳以外はめちゃくちゃ山奥になるため、富山平野などの平地からこれらを見るのは結構難しいんじゃないかと思います。距離が離れていて、しかも少し標高が高い宝達山だからこそ、こうした峰々も拝むことができるんじゃないかな。

そしてビックリしたのが穂高岳や笠ヶ岳など奥飛騨の峰々も非常にクッキリ見えたことです。剱・立山は多少景色が霞んでいてもうっすら見えますが、さすがに穂高はそういうワケにはいきません。石川県からこれらの峰々が見えるのは、とても条件が良い時に限られるハズです。
黒部五郎岳のほんの少し左(北)側には、槍ヶ岳(3180m)が顔を覗かせているのが確認できました。そして日本第三位の高峰奥穂高岳(3190m)もクッキリ。その右側には、槍ほどではないにしてもツンと天を突く笠ヶ岳(2898m)が綺麗に見えました。
ちなみに、宝達山から穂高岳までの直線距離は93kmになります。

カメラが手持ちだったのでブレてて申し訳ないです。
でもこうやってズームすると、槍ヶ岳の存在が分かってもらえるかと(^^)。真っ白な頂が黒部五郎岳。その左にある、まるでガラスの破片のように尖って見えるのが、登山愛好家憧れの的、槍ヶ岳です。

穂高連峰と笠ヶ岳。ここまでハッキリ。

そして、この日何より一番驚いたのは乗鞍岳(3026m)が見えちゃってること!
あれって・・・やっぱりあの乗鞍岳ですよね?
最初目を疑いましたが、一応アプリなんかで調べてみると、やっぱりあれは乗鞍岳で間違いない!
石川県の里山から、槍ヶ岳・穂高岳が見えるのは分かっていました。実際、金沢市の医王山付近から見たことがあります。でも乗鞍岳が見えるというのは知らなかった。もちろん白山とかガチの登山に挑めば山頂から乗鞍岳が見えますよ、でもこんな車でラクラク行けちゃう里山から乗鞍岳を拝めるなんて、思ってもいませんでした。

いや~、乗鞍岳素晴らしいな~!
一応言っておきますが、ここは石川県の能登半島です。石川から、しかも能登から乗鞍岳が見えるなんて、ちょっと感動じゃないっすか?
しかも見えるか見えないかわからないくらいの超うっすらとか、双眼鏡じゃないと判別つかないくらいの豆粒で見えるとか、山の陰から辛うじて顔を出すとか、そんなイジワルな見え方じゃなくて、「どうぞ好きなだけ見てください!」と言わんばかりに堂々と見せてくれてます。もちろん肉眼でもちゃんと見えてましたからね!
ちなみに宝達山から乗鞍岳まで直線距離でちょうど100km。これは東京都心から富士山までの距離にほぼ等しいので、特に空気が澄んでいる真冬の時期ならば見えても不思議じゃない距離かもしれません。

乗鞍岳が見えるということは、ひょっとして御嶽山も見えたりして!
な~んて、あるわけないか!あっはっは~!
・・・と思いながら念のため乗鞍岳からさらに右(南)のほうへレンズを向けてみると・・・
ん?あの白い頂はもしかして・・・ま、まさかの御嶽山!?

絶対、御嶽山(3067m)ですよ、これ。
乗鞍岳よりも南のほうにあって、これだけ真っ白に見えるということは少なくとも標高は2500m以上。そうなると思いつく山は御嶽山しかありません。こりゃ驚いた!
堂々たる乗鞍岳に比べて、御嶽山は山の陰からコンニチワ的なちょっとイジワルな見え方ですが、でも確かに見えている。乗鞍岳のみならず木曽の御嶽山まで見えるとは、宝達山恐るべしです!
ちなみに宝達山から御嶽山までの直線距離は115km。宝達山から見える山の中では最も遠いところにあるんじゃないかな。

これだけ北アルプスやら乗鞍やら御嶽など3000メートル峰を見せられた後の地元の名峰白山(2702m)は、正直ちょっと物足りない(笑)。
宝達山から白山までの直線距離は69kmであり、結構遠いイメージがありましたが実は立山よりも近い存在です。ただ、方角が南になるので日中はほぼ逆光になっちゃうのが難点かな。

ってなワケで、宝達山山頂からのアルプス展望でした。
この日は特に見通しが良く、100km以上離れた山もクリアに見えていました。こんな日はなかなか珍しいんじゃないかと思います。
車で行けて、白山、白馬岳、立山、乗鞍岳、御嶽山が見える場所って相当レアじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。少なくとも僕はパっとは思いつきません。
もし能登に遊びに来ていて、とびきり綺麗な青空が広がったら、ぜひ宝達山頂を目指してみてください。たとえ北アルプスが見えなかったとしても、眼下に広がる富山や能登のパノラマは一見の価値があります!
石川県羽咋郡宝達志水町 今浜海岸(なぎさドライブウェイ)
さて、ここからはオマケです。
宝達山はどちらかというとマイナースポットかもしれませんが、すぐ麓の海は知名度全国区の観光地になっています。車で波打ち際を走ることができる「なぎさドライブウェイ」と言えば分かる方も多いのでは?
宝達志水町の今浜海岸はなぎさドライブウェイの金沢方面の起点であり、ここから羽咋市の千里浜まで、およそ8kmの波打ち際ドライブが楽しめます。宝達山を下りたのが日没時刻の近くだったので、久しぶりに海に沈む夕日を見ようと思い、なぎさドライブウェイに向かいました。

石川県の中では定番の夕日スポットです。車に乗ったまま海岸に乗り付けられますからね。夕方も割と交通量が多いです。
宝達山も車に乗ったまま山頂に乗り付けられますから、実は宝達志水町は山も海も車から降りずに歩かずに楽しむことができます。車好きにはたまらない町かもしれません。まぁ何だ、とことんラクしたい人向けって感じ?w

肝心の夕日ですが、あれだけ北アルプスがクッキリと見えた日だったんだから、さぞや夕日も美しいだろうと思っていたのですが、日没前に水平線には薄い雲が広がっちゃって、水平線に沈む夕日はどうも拝めそうにありません。

なぎさドライブウェイから見た夕日はこんな感じ。
やはり太陽は最後には雲に阻まれて、ボンヤリとしながら沈んでいきました。


夕日の左側には、太陽と同じ高さに妙に明るく輝く雲が。
これは幻日かもしれません。これが見られると次の日は天気が下り坂だって聞きますが、今日あんなに天気が良かったのに早くも崩れていきそうです。

日没後、続々と車が海岸を離れていきました。

最後に、のと里山海道の高松サービスエリア。
空の薄い雲がオレンジ色に染まって、綺麗な夕焼けになりました。ハイウェイのオレンジ色の灯りもあいまって、夕暮れ感たっぷりでした。

この日は朝から紅葉狩りに精を出し、宝達山頂に登って最後は海へ。天気が良かったからいろいろ楽しめた一日でしたね~。
この記事を書いているのは年の瀬も差し迫ったクリスマス。金沢は雪が積もっていて、すっかり冬本番を迎えています。そう言えばここ最近青空を見ていないかもしれません。そう、北陸の冬は晴天率が低いんですよね~。
次にこの日みたいなポカポカ陽気の青空を楽しめるのは、春になってからかもしれません。長い冬を耐えたいと思います(^^;。
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<宝達山頂展望台>
【駐車場】あり(無料)
【入場料とか】無料
【所要時間】45分
【地図】
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