04 2022

宝厳寺と竹生島神社、文化財が集まる竹生島/琵琶湖でとっても気軽な船の旅(後編)

「そうだ琵琶湖行こう」的なノリでやってきた琵琶湖。その北部に小さな無人島が浮かんでいて、そこを今回のプチ旅のターゲットとしました。
由緒ある寺院と神社が存在し、「神の棲む島」とも言われていて、島全体が聖地としてあがめられている竹生島。日本人の心の拠り所と言っても過言ではありません。
そんな竹生島に船に乗って上陸し、宝厳寺(ほうごんじ)都久夫須麻神社(つくぶすまじんじゃ)(竹生島神社)を巡って神仏の歴史を感じよう、あわよくばご利益に授かろうというのが今回の旅のテーマです。

上陸するや次々と現れる見どころの数々!
竹生島はとても小さな島ですが、とても奥深いんです。

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(都久夫須麻神社 竜神拝所の宮崎鳥居)

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(宝厳寺本堂)


ただ寺院や神社を見るだけではなくて、なぜこんな小さな島にお寺と神社が混在しているのか、そのようにさせた歴史的な背景をちょっとだけ頭に入れて回ってみると、もっともっと楽しめると思います。
そんなワケで、竹生島観光の後編は「島内巡り編」です。ご覧ください(^^)。

前編はこちら
竹生島クルーズで湖上に浮かぶ聖なる島へ行ってみた/琵琶湖でとっても気軽な船の旅(前編)

竹生島クルーズで湖上に浮かぶ聖なる島へ行ってみた/琵琶湖でとっても気軽な船の旅(前編)

日本一大きな湖として知らない人がいない琵琶湖ですが、その湖上に小さな島がいくつか浮かんでいるのはご存知でしょうか。琵琶湖で一番大きな島は沖島という人が住んでいる島ですが、2番目に大きな島が今回訪ねた竹生島(ちくぶじま)です。竹生島は小さな無人島ですが、琵琶湖の一大観光地として知られています。なぜなら、島には由緒ある寺院や神社があって、島そのものが聖域になっている非常にありがた~いスポットだからです...


2022年08月28日 滋賀県長浜市 竹生島


今津港から25分のクルーズを終えて竹生島に上陸。ここからは戻りの船が出航するまでのおよそ75分間の島内散策です。
散策と言っても島の中を思いのまま自由にブラつけるわけではなくて、人が立ち入れる場所は限られています。島にある社寺、宝厳寺都久夫須麻神社(竹生島神社)を見学して、再び港に戻るというルートになり、少しゆっくりめに歩いて回っても75分あればまぁ大丈夫かなってくらいの感覚です。
ちなみに島に入ってすぐのところで拝観料の支払いが必要です。船代に入ってなかったんかいっ!とツッコミたくなりますが、まぁ抑えましょう。拝観料は大人600円でした。

「竹生島神社」と書かれた立派な鳥居をくぐって、いよいよ境内へ!
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すると再び鳥居がありました。
先ほどの鳥居では竹生島神社と書かれていたのですが、今度の鳥居には「巌金山」と書かれています。これは宝厳寺の山号ですね。そして鳥居の横の石碑には「宝厳寺」の文字が。ここから先はお寺の境内であることが分かります。
それにしても、鳥居って普通は神社の入口じゃないですか?何でお寺の入口に鳥居が?って、不思議に思います。
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そもそも、こんな小さな竹生島に、寺院と神社が隣り合って建っているのもちょっと不思議ですよね。これには実は深いワケがあるんだとか。
その昔「神仏習合」の時代、竹生島の宝厳寺と竹生島神社は一つの宗教施設だったんですが、明治になって「神仏分離」が行われた結果、今のように無理やりにお寺と神社の二つに分けられたという歴史があるらしい。これを基礎知識として持った上で竹生島を訪ねると、さらに奥深く感じるんじゃないかと思います。


港から宝厳寺の本堂へはかなり急な傾斜の階段を登ることになります。
この階段は「祈りの階段」と名付けられいて、段数は165あると言われています。これを登るのが結構キツいんですよね。。。
登りながら、そんなに最近でもないけれど少し前に同じような体験してるなと思ったら、身延山久遠寺の菩提梯だったか。あれに比べれば竹生島の165段はそれほどでもないですが、夏の石段登りは堪えます。
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昔から多くの人が様々な願い事を祈りながら一歩一歩この階段を登ってきた。
そう考えると何だか神妙な気持ちにさせられますよね。
一方で僕が登りながら願ったことは、早く着かないかな、早く着かないかなと、煩悩丸出しだった自分に反省です・・・。
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階段を登り切ったところにあるのが宝厳寺本堂です。とても立派なお堂で、この急峻な竹生島の斜面によくぞこのようなお堂を作ったものだと感心します。
宝厳寺の創建は724年とされていて、今から1300年も昔のこと。相当歴史のあるお寺なんですが、現在の本堂は戦時中の1942年に建てられたもので比較的新しいようです。
明治時代の神仏分離の動きの中で、竹生島の建物も寺院と神社で明確に境界が設けられました。その結果、もともと宝厳寺の本堂だった建物は竹生島神社に譲られた経緯があります。後ほど見ることになる竹生島神社の本殿が、かつての宝厳寺の本堂だったそうです。
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お堂の中では(お堂の外でもそうなんですが)「弁財天」「辨才天」という字がアチコチに見られました。
ここ竹生島の宝厳寺及び竹生島神社は、広島の厳島神社、神奈川の江島神社と並んで日本三大弁天の一つに数えられているというのは結構有名な話。三大モノが好きな私にはたまらない物件だ。
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お堂の中でひときわ目を引くのが、おびただしい数のだるま。思わず「何じゃコレ!」と心の中で叫んでしまいそうなくらい、とにかく無数にダルマがあるんです。
「弁天様の幸せ願いダルマ」と呼ぶそうで、このダルマの中に願い事を書いた紙を入れて奉納すると、その願い事が叶うとされています。
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本堂からさらに階段を登ったところにあるのが三重塔です。深緑の中に佇む鮮やかな朱色が目を引きました。
こちらの三重塔は2000年になってから再建された竹生島の中では比較的新しい建造物のようですが、設計にあたっては古くから残されていた設計図を参考とし、現代の宮大工により6年の歳月をかけて造られたもののようです。
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何せ狭い土地に背の高い塔が建っているものだから、広角レンズでもなければ塔全体を収めるのが結構難しかったりします(^^;。
三重塔の全体を撮るなら、塔の隣に建つ宝物殿の軒下がオススメかな。
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ここまでは急な階段を登り続けてきたのですが、三重塔を見た後は逆に階段を降りていくことになります。
そして、階段を降りる途中で突如目に飛び込んでくるのが、唐門と観音堂です。
思わずおぉぉ!と唸ってしまう荘厳さよ。これを見に来たんだ。
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ここから先は竹生島のハイライト。文化財のオンパレードです。
観音堂の入口にあたる唐門はなんと国宝に指定されているとても貴重な建造物です。国宝って久しぶりに見たよなぁ。さらにその背後にある観音堂とそこから続く舟廊下は国の重要文化財。そして舟廊下を渡った先にある竹生島神社本殿も国宝です。
もうワクワクしかしないですよね!

唐門は、豊臣秀吉の子である秀頼が、秀吉の墓所である京都の豊国廟にあった極楽門を1603年に竹生島に移設したものと言われていますが、報国廟にあった極楽門は実はもともと大坂城にあった極楽橋から移設されたものだということが最近になって分かったらしい。つまりこの宝厳寺唐門は現代に残る唯一の豊臣大坂城の遺構とされていて、とても貴重なんだとか。
国宝なだけあって歴史がそのまま残っているわけですが、この鮮やかな極彩色はつい最近の2020年に修復されたばかりのものです。
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唐門と観音堂の修復工事は2013年に始まり、7年ほどの歳月をかけて完成しました。
ちなみに前記事でも書きましたが、僕が竹生島を訪ねたのは今回が3回目。初回は2016年であり、2回目は2019年なので、前に訪れた2回はいずれも修復工事の真っ最中だったんですよね。ですからせっかくの国宝なのに、当時の外観は足場とシートに覆われて全く見えず、中は中で壁も天井も全て板が打ち付けてあって、まるで板でできたトンネルみたいになってた。
言うなれば、コース料理のメインディッシュなのに蓋がされていて匂いだけ嗅いでおしまい、そんなイメージw
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(2019年09月14日撮影 修復工事中の唐門・観音堂)

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(2019年09月14日撮影 修復工事中の唐門の内部)


だからこそ、竹生島は必ずや再訪したい場所だったんです。
「三度目の正直」とはまさにこのことで、2022年の今回、3度目の訪問にしてようやく見事に蘇った鮮やかな唐門、そして観音堂と対面することができました。
6年越しですからね、そりゃ感動ですよ。
そう言えば修復前の姿を私は見たことがないんですが、別のサイトなんかで確認してみると色という色は全て抜け落ちてしまっていて、今の艶やかな姿からはちょっと想像できないくらいみすぼらしいものだったのでビックリしました。修復工事を経て再び蓋を開けられたメインディッシュは、想像以上に華やかな装飾に満ちていました。
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観音堂の内部。
柱や梁は漆ですかね。黒々としていて、黒光りがすごい。
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そして、観音堂からまっすぐ竹生島神社に向かって伸びる渡り廊下が、重要文化財の宝厳寺渡廊(舟廊下)です。
下の写真は観音堂の窓から眺めた舟廊下の外観ですが、この廊下を境に、手前が宝厳寺で奥が竹生島神社。かつて同じ宗教施設だった寺院と神社は、明治時代に無理やり引き裂かれて二つの独立した宗教施設になってしまいました。でもそれらを繋ぐこの舟廊下を残していたのは、神仏分離に対する少しばかりの抵抗だったのかもしれません。
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(宝厳寺側から)

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(竹生島神社側から)


舟廊下を下から見上げることもできました。
竹生島が険しい地形だからなのか、寺院と神社の間の谷地に複雑な木組みを施して、両者を繋ぐ渡り廊下が支えられているのが分かります。これが400年以上も前からあるんだから、昔の木組みの技術ってすごいよね。
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舟廊下を渡った先にあるのが、竹生島神社本殿です。
唐門と同様にこちらも国宝に指定されている大変貴重な歴史的建造物です!
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本殿から見下ろす先にあるのは琵琶湖をバックにした八大竜王拝所(竜神拝所)と呼ばれている建物です。
特に文化財に指定されているわけではないけれど、この建物はその名のごとく琵琶湖の八大竜王を拝むための特別な場所であり、竹生島の中でも琵琶湖の眺望が特に素晴らしいところで、是非中に入って琵琶湖を眺めてほしいところ。
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拝殿に立てば、琵琶湖の見事な風景が眼前に広がります!
琵琶湖の北端に違い竹生島から南を見渡すことになるので、言ってみれば日本一の琵琶湖全部が見えてる感じ(実際には全部見渡すのは無理かもしれませんが)。とにかく雄大な景色です。
拝殿の先にある鳥居は「宮崎鳥居」で、後で説明する「かわらけ投げ」のターゲットとなる鳥居です。
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この拝殿では「かわらけ投げ」というのが名物になっています。せっかくだからかわらけを投げてご利益を授かろうではありませんか。
「厄除」と彫られた素焼きの小さなお皿2枚と筆ペンが手渡されるので、1枚には自分の名前を、そしてもう1枚には願い事を書きます。
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そして2枚のお皿を拝殿から外に向かって勢いよく投げます!
投げる順番が決まっていて、まずは名前を書いたお皿、そして次に願い事を書いたお皿の順ですので間違えないように気を付けなければ。
ターゲットは上の写真にもある「宮崎鳥居」。投げたかわらけがこの鳥居の下を見事にくぐったら、晴れて願い事が叶うというものです。多くの人が挑戦するのですが、うまく鳥居の下をくぐらせるのはハッキリ言って至難の業です。
願い事を叶えるのはそんなに容易いことではないという現実を突きつけられてしまうのでした(苦笑)。
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(娘も僕も、1枚も成功しませんでした)


竹生島神社境内には小さなお社がいくつもあって、中でも「富」や「福」にまつわるものが多い印象です。
弁「財」天って書きますからね、財力を上げてくれるんじゃないかと期待してしまいます。
御利益に授かろうと、お賽銭やらお守りやらおみくじやらかわらけやら・・・気が付けば財布が空っぽになってそうでちょっと怖い(笑)。
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そんなこんなで、竹生島にある宝厳寺と竹生島神社を一通り回って港に戻ってくれば、だいたい1時間くらい経っている感じです。竹生島にこれで3回来ましたが、3回とも同じくらいの所要時間なので、間違いないでしょう。
島で残り自由に使える時間は10分くらいなので、もしお土産を買いたいなら船の列に並ぶ前に急いで買う必要があります。ゆっくりコーヒーなんかを飲む時間もないかもしれません。
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汗かきながら階段を登り降りしたので暑いし喉が渇きます。帰りの乗船前のわずかな時間を使って、冷たいジュースでクールダウン。一杯500円とちょっと割高な気もしましたが、エアコンの効いた店内で飲むジュースはとてもおいしかったからヨシとしよう!
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竹生島の滞在時間は約75分間(船によってはもう少し長い場合もあります)。
次々とテンポよく現れる見どころを巡りながら歩いていると、あっという間でした。ただ、時間を持て余すワケでもなく、駆け足で回らなければいけないワケでもなく、ちょうどいい時間かもしれません。
再びいんたーらーけん(びわ湖光秀号)に乗って竹生島を後にし、本土の今津に戻りました。
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ってなワケで、琵琶湖に浮かぶ聖なる島、竹生島の様子をお伝えしました!
「神の棲む島」と言われ、パワースポットとしても知られている島ですが、神仏習合と神仏分離の複雑な歴史の産物だということを知っておけばもっと奥深い島であることが分かると思います。
僕はこれで3回目の訪問で、最大のお目当てだった国宝の唐門も見ることができたので、竹生島でやりたいことはほぼ果たしたワケですが・・・、かわらけ投げに見事に失敗した娘いわく、「また挑戦したい」と。
じゃあ次来る前に、せめてフリスビー投げでもしてコントロールを鍛えたほうがいいかもねw



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<竹生島>
【駐車場】あり(本土の船乗り場付近 無料)
【入場料とか】600円(+往復の船代2700円(今津航路)または3200円(長浜航路)が必要)
【所要時間】70分(乗船時間等も含めれば2時間30分ほど)

【地図】


【リンク】
竹生島宝厳寺
竹生島神社
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