富山県の東部、黒部川の河口付近に、豊かに水が湧きだす地があるのをご存知でしょうか。
北アルプス立山連峰に降る雨や雪は黒部川となって日本海に向けて流れていますが、一部が地下水となって地面の下を流れ、それが再び地表に湧き出している地域があります。その豊富な水量と素晴らしい水質から、環境省により名水百選にも選ばれている「黒部川扇状地湧水群」です。
この地域では湧き水のことを「清水(しょうず)」と呼んでいて、特に清水が数多く点在する黒部市生地地区では「清水めぐり」が観光資源にもなっているようです。今回、お散歩がてら生地の清水をいくつか回ってみました。

(月見嶋の清水)

(神田の清水)
生地の清水は飲み水としてはもちろん、洗い物をしたり何かを冷やしたりするために古くから活用されてきました。
町の中には共同洗い場として整備された清水がいくつもあって、地域の方々の交流の場にもなっているみたいです。

(神明町の共同洗い場)
ってなワケで、今回の記事は生地地区の清水めぐりをお送りします。
絵的に多少地味になってしまいすが(笑)、暑い夏、キンと冷えた黒部の名水を巡って散歩するのもアリかなと思いますので、参考にしてみてはいかがでしょうか(^^)。
もちろん、抜群にキレイでおいしい水です。清水ごとにそれぞれ微妙に味や口あたりが違うと言われているので、自分に合ったお気に入りの水を探してみてもいいと思いますよ。
立山に降った雨や雪は、3000メートル級の峰々を削ってできった黒部峡谷の急流を下り、平地に出るところでとても広大な扇状地を形成しています。黒部川扇状地と言って、典型的な扇状地の例として学校の教科書にもよく出てくるから知っている人もきっと多いでしょう。
扇状地では地表を流れる水が地下に浸透しやすくて、伏流水となって地面の下を流れていくのですが、扇状地の扇の末端部分で再びその地下水が地表あるいは海底に湧き水として湧き出てきます。今回訪ねた生地(いくじ)地区がその湧水帯の典型例に当てはまり、生地だけで18か所の清水があるみたいですよ。

生地地域では数多くの湧き水を観光資源として生かしていて、下の写真のように「清水めぐりマップ」みたいなものもあって、いくつもの清水を探しながらの町歩きが楽しめます。

下の写真は、生地地区の清水が集まる道。「名水街道」とも呼ばれています。
ここを歩けば、次々と小さな湧き水スポットが現れます。ただ、観光客向けのお店もコンビニも全くないのでご注意を。

おそらくですが、こちらが生地の代表的な清水スポットと言えるでしょう。
神明町の共同洗い場です。
その名の通り、近くに住む人たちが洗い物をしたり、飲み物を冷やすために使っている施設で、ちょっとした社交場みたいな感じのところです。建物はプレハブチックで、見た目に生活感溢れてますね!
こうした洗い場の中は、僕たちみたいに外からフラっと来た観光客も基本的に自由に出入りができます。

中は小綺麗にされていて、掃除道具なんかもちゃんと用意されています。多分だけど、町会の共有財産みたいな感じになっていて、掃除当番とかもちゃんと決まっているんだろうなって思いました。
こんこんと湧く水はいくつかの四角い水槽の中を順番に流れ落ちていくようになっています。それぞれの水槽には「炊事用」「洗濯用」などの役割があって、上の水槽ほど綺麗な水を必要とすることに使っているのだと思われます。


水が湧いているとついつい水に触れたくなるのが人情ってモンです。特に夏場は暑いから冷たい水に自然と手が伸びますよね。
で、この水のなんと冷たいこと!
一緒に散歩に連れて行った娘たちもその冷たさを楽しんでいました。
実は生地に湧く清水の水温は年間を通して一定で、だいたい11度から14度くらいなんだそうです。夏に触るととっても冷たいけど、逆に冬に触るとそんなでもないかもしれません。

地下水が湧き出る仕組みが説明されていますが、正直、よくわかりません(笑)。
つまり、粘土層のさらに下まで掘って、被圧地下水というものが湧き出ているということなのでしょうか。かなり深いところから湧き出ている??
しかしまぁ、こういう看板があるということは、一応観光客が来ることも想定しているってことですかね。
ちなみにこの共同洗い場では「生地まち歩きマップ」というのが手に入ります。これがとても見やすくて情報満載のマップなので、これから生地を歩くぞというタイミングで是非この共同洗い場に来てマップを手に入れてください。

町を歩くと続々と清水が現れます。
共同洗い場からほど近くの道沿いに、神田の清水がありました。かわいらしい屋根が特徴的です。

柄杓がいくつも置いてあったので飲用にされているのでしょうが、先ほどの神明町の共同洗い場と同じような水槽が二つあることから、洗い場としても機能しているみたいです。
少し小振りだけど、底に小石が敷き詰められていて見た目をちょっと意識しているように見受けられました。

勢いよく水が噴き出しています。年間を通してこの水が枯れることはないんでしょうね。


さて、続いては弘法の清水(神明町西)です。
付近には「弘法の清水」という名前の清水が3ヶ所もあって紛らわしいのですが、(神明町西)、(神明町東)、(四十物町)と地名を括弧書きで追記することで区別しているようです。
弘法大師にまつわる逸話は全国各地に数多くありますが、ここ生地では、なんと弘法大師が杖で突いたところから清水が湧き出たそうなんです。だから弘法の清水という名前が付いたとされています。

住宅の壁と壁の隙間のとても狭いところに清水がありました。
歩いていれば気づくけど、車を運転していたらきっと見落としてしまうほどの狭さです。


え!?飲めないんだ!
てっきり、生地の清水はどれも飲むのに適しているものと思い込んでいましたが、中には飲用にあまり適していない清水もあるようです。弘法の清水(神明町西)の壁には「塩化物イオンの濃度が高い(しょっぱい)から飲まないで」の張り紙がありました。
「飲むな」と言われると腰が引けてしまう私。どれほどしょっぱいのか試すことはできませんでした(^^;。

このように、同じ地区から湧き出す清水であっても水質は一つ一つ違うようです。
ちゃんと飲み比べてみると味とか口あたりとかが微妙に違うんでしょうね。
そして弘法の清水(神明町東)も、これまた奥まったところにありました。先ほどの神明町西よりもさらに分かりにくいかも。
壁と壁の間が狭い!まるで民家の私有地みたいなところですが、これでも一応共同スペースのようです。


神明町西の弘法の清水は飲めませんでしたが、こちらは普通に飲めるみたい。
また水槽が近代的なステンレス製のため清潔感がより強く感じられましたね。

お次は交差点の分かりやすい場所にある殿様清水です。
その昔、前田家のお殿様が大変おいしいと賞賛されたという言い伝えがあって、この名前がついたんだとか。


この清水では、実際に水を汲みに来ている人も見られたので、言い伝えはウソではなく、本当においしい水なんだと思います。
娘も無言で柄杓にすくって飲んでいました。冷たくておいしかったんじゃないかな(^^)。

お次は絹の清水です。
名前から察するに、まるで絹のような滑らかな口当たりのいい水が湧いているんだろうなぁ、と思うでしょう?
ところが違います。実はこの清水の名前の由来は隣にあった豆腐屋さんの豆腐が絹のように滑らかだったからなんだって。この水と全然関係ないぢゃんと思いますが、しかしその豆腐の滑らかさはやはりこの清水のおかげだから、あながち無関係でもないような。
それにしてもお隣が豆腐屋でよかったじゃないですか。もし隣が、鉄のように硬い煎餅で有名な煎餅屋さんだったら、「鋼の清水」みたいな名前になってしまっていたのかな(^w^)

でも、生地の清水は非常にまろやかだと言われています。
名前の由来が「絹のようななめらかな水が湧くから」だったとしても全く違和感がないです。何なら今からでも由来をこっちのほうに変えたらどうですかね?w


さらにもう一ヶ所、弘法の清水(四十物町)です。
これまで弘法の清水という名前の清水を2ヶ所回ってきましたが、弘法シリーズではこちらが最も新しくて清潔感があるような気がします。
しっかりとした建物の中にあって、水槽はステンレス製で3段階。

清水を訪れるたび、柄杓を持って味見する姉妹。
私よりも先に清水に着いて水を飲むもんだから、かなり高い確率で試飲のシーンが写真に入ってしまう(笑)。

ザバザバと滝のように水が流れています。
ここの清水は湧水量が多いのが特徴で、湧き出る水の量は1分間に500リットルで生地の清水の中では2番目に多いんだそうです。

町を歩いていると、家の庭に清水が湧き出ている、そんなご家庭も目にしました。
普通ならお金を出して買うようなレベルのとてもおいしい水が、庭でコンコンと湧き出るなんて、羨ましくないですか?しかもその水がいろんな用途に使えるのなら、もはや水道料金不要ですよね。
生地の清水は個人宅のものも含めると600ヶ所にものぼるそうです。

地区の観光拠点でもある道の駅、ならぬ、魚の駅生地。
すぐ隣の生地港で水揚げされた新鮮なお魚はもちろんですが、この施設にも清水があって、誰でも触れたり飲んだりができるようになっています。あまり時間がない人でも、こちらに立ち寄ればお土産も買えるし清水も楽しめるってワケです。


さて、ここまではどちらかというと飲み水や生活用水として活用されている清水を見て回りましたが、生地の清水の中には湧き水が池になっているところもあります。
月見嶋の清水がその代表例。

12世紀頃、この一帯には「越之湖」という湖が広がっていたそうですが、付近を流れる黒部川や片貝川の大洪水で埋まってしまいました。この月見嶋の清水は、その越之湖の名残だと言われています。
池はめちゃめちゃフォトジェニックってわけではないんですが、綺麗に整備がされていて、池の周りを散歩することもできます。これまでとは違う清水の楽しみ方かもしれません。



池には鯉が泳いでいるのですが、驚いたのは鯉のエサがご自由にどうぞなこと!少しだけエサをあげてみると、池中の鯉が集まる集まる。
おかげで娘たちにも少しだけ楽しい思いをさせることができました。

ってなワケで、黒部川扇状地に湧き出る「清水」の里、生地地区でした。
決して華やかな観光地ではないけれど、水の豊富な日本の、その中でも特に名水として名高い北陸富山の湧き水に直に触れられるし、そんな名水を好きなだけ飲み比べることもできちゃう、水マニア(そんな人いるのか?)にとってはとても面白いスポットだと思いました。
水を取り巻く自然や社会について、じっくりと学ぶことができるいい機会でもあると思います。お時間あれば是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

黒部川の地下水の神秘を味わえる場所

たまたま出会えた魚津の蜃気楼

<生地地区の清水(神明町の共同洗い場)>
【駐車場】なし
【入場料とか】無料
【所要時間】1時間30分(地区内随所の清水めぐり)
【地図】
【リンク】
黒部観光ガイド(生地まち歩き)~越中黒部清水の里~
北アルプス立山連峰に降る雨や雪は黒部川となって日本海に向けて流れていますが、一部が地下水となって地面の下を流れ、それが再び地表に湧き出している地域があります。その豊富な水量と素晴らしい水質から、環境省により名水百選にも選ばれている「黒部川扇状地湧水群」です。
この地域では湧き水のことを「清水(しょうず)」と呼んでいて、特に清水が数多く点在する黒部市生地地区では「清水めぐり」が観光資源にもなっているようです。今回、お散歩がてら生地の清水をいくつか回ってみました。

(月見嶋の清水)

(神田の清水)
生地の清水は飲み水としてはもちろん、洗い物をしたり何かを冷やしたりするために古くから活用されてきました。
町の中には共同洗い場として整備された清水がいくつもあって、地域の方々の交流の場にもなっているみたいです。

(神明町の共同洗い場)
ってなワケで、今回の記事は生地地区の清水めぐりをお送りします。
絵的に多少地味になってしまいすが(笑)、暑い夏、キンと冷えた黒部の名水を巡って散歩するのもアリかなと思いますので、参考にしてみてはいかがでしょうか(^^)。
もちろん、抜群にキレイでおいしい水です。清水ごとにそれぞれ微妙に味や口あたりが違うと言われているので、自分に合ったお気に入りの水を探してみてもいいと思いますよ。
2022年07月18日 富山県黒部市生地地区 黒部川扇状地湧水群
立山に降った雨や雪は、3000メートル級の峰々を削ってできった黒部峡谷の急流を下り、平地に出るところでとても広大な扇状地を形成しています。黒部川扇状地と言って、典型的な扇状地の例として学校の教科書にもよく出てくるから知っている人もきっと多いでしょう。
扇状地では地表を流れる水が地下に浸透しやすくて、伏流水となって地面の下を流れていくのですが、扇状地の扇の末端部分で再びその地下水が地表あるいは海底に湧き水として湧き出てきます。今回訪ねた生地(いくじ)地区がその湧水帯の典型例に当てはまり、生地だけで18か所の清水があるみたいですよ。

生地地域では数多くの湧き水を観光資源として生かしていて、下の写真のように「清水めぐりマップ」みたいなものもあって、いくつもの清水を探しながらの町歩きが楽しめます。

下の写真は、生地地区の清水が集まる道。「名水街道」とも呼ばれています。
ここを歩けば、次々と小さな湧き水スポットが現れます。ただ、観光客向けのお店もコンビニも全くないのでご注意を。

おそらくですが、こちらが生地の代表的な清水スポットと言えるでしょう。
神明町の共同洗い場です。
その名の通り、近くに住む人たちが洗い物をしたり、飲み物を冷やすために使っている施設で、ちょっとした社交場みたいな感じのところです。建物はプレハブチックで、見た目に生活感溢れてますね!
こうした洗い場の中は、僕たちみたいに外からフラっと来た観光客も基本的に自由に出入りができます。

中は小綺麗にされていて、掃除道具なんかもちゃんと用意されています。多分だけど、町会の共有財産みたいな感じになっていて、掃除当番とかもちゃんと決まっているんだろうなって思いました。
こんこんと湧く水はいくつかの四角い水槽の中を順番に流れ落ちていくようになっています。それぞれの水槽には「炊事用」「洗濯用」などの役割があって、上の水槽ほど綺麗な水を必要とすることに使っているのだと思われます。


水が湧いているとついつい水に触れたくなるのが人情ってモンです。特に夏場は暑いから冷たい水に自然と手が伸びますよね。
で、この水のなんと冷たいこと!
一緒に散歩に連れて行った娘たちもその冷たさを楽しんでいました。
実は生地に湧く清水の水温は年間を通して一定で、だいたい11度から14度くらいなんだそうです。夏に触るととっても冷たいけど、逆に冬に触るとそんなでもないかもしれません。

地下水が湧き出る仕組みが説明されていますが、正直、よくわかりません(笑)。
つまり、粘土層のさらに下まで掘って、被圧地下水というものが湧き出ているということなのでしょうか。かなり深いところから湧き出ている??
しかしまぁ、こういう看板があるということは、一応観光客が来ることも想定しているってことですかね。
ちなみにこの共同洗い場では「生地まち歩きマップ」というのが手に入ります。これがとても見やすくて情報満載のマップなので、これから生地を歩くぞというタイミングで是非この共同洗い場に来てマップを手に入れてください。

町を歩くと続々と清水が現れます。
共同洗い場からほど近くの道沿いに、神田の清水がありました。かわいらしい屋根が特徴的です。

柄杓がいくつも置いてあったので飲用にされているのでしょうが、先ほどの神明町の共同洗い場と同じような水槽が二つあることから、洗い場としても機能しているみたいです。
少し小振りだけど、底に小石が敷き詰められていて見た目をちょっと意識しているように見受けられました。

勢いよく水が噴き出しています。年間を通してこの水が枯れることはないんでしょうね。


さて、続いては弘法の清水(神明町西)です。
付近には「弘法の清水」という名前の清水が3ヶ所もあって紛らわしいのですが、(神明町西)、(神明町東)、(四十物町)と地名を括弧書きで追記することで区別しているようです。
弘法大師にまつわる逸話は全国各地に数多くありますが、ここ生地では、なんと弘法大師が杖で突いたところから清水が湧き出たそうなんです。だから弘法の清水という名前が付いたとされています。

住宅の壁と壁の隙間のとても狭いところに清水がありました。
歩いていれば気づくけど、車を運転していたらきっと見落としてしまうほどの狭さです。


え!?飲めないんだ!
てっきり、生地の清水はどれも飲むのに適しているものと思い込んでいましたが、中には飲用にあまり適していない清水もあるようです。弘法の清水(神明町西)の壁には「塩化物イオンの濃度が高い(しょっぱい)から飲まないで」の張り紙がありました。
「飲むな」と言われると腰が引けてしまう私。どれほどしょっぱいのか試すことはできませんでした(^^;。

このように、同じ地区から湧き出す清水であっても水質は一つ一つ違うようです。
ちゃんと飲み比べてみると味とか口あたりとかが微妙に違うんでしょうね。
そして弘法の清水(神明町東)も、これまた奥まったところにありました。先ほどの神明町西よりもさらに分かりにくいかも。
壁と壁の間が狭い!まるで民家の私有地みたいなところですが、これでも一応共同スペースのようです。


神明町西の弘法の清水は飲めませんでしたが、こちらは普通に飲めるみたい。
また水槽が近代的なステンレス製のため清潔感がより強く感じられましたね。

お次は交差点の分かりやすい場所にある殿様清水です。
その昔、前田家のお殿様が大変おいしいと賞賛されたという言い伝えがあって、この名前がついたんだとか。


この清水では、実際に水を汲みに来ている人も見られたので、言い伝えはウソではなく、本当においしい水なんだと思います。
娘も無言で柄杓にすくって飲んでいました。冷たくておいしかったんじゃないかな(^^)。

お次は絹の清水です。
名前から察するに、まるで絹のような滑らかな口当たりのいい水が湧いているんだろうなぁ、と思うでしょう?
ところが違います。実はこの清水の名前の由来は隣にあった豆腐屋さんの豆腐が絹のように滑らかだったからなんだって。この水と全然関係ないぢゃんと思いますが、しかしその豆腐の滑らかさはやはりこの清水のおかげだから、あながち無関係でもないような。
それにしてもお隣が豆腐屋でよかったじゃないですか。もし隣が、鉄のように硬い煎餅で有名な煎餅屋さんだったら、「鋼の清水」みたいな名前になってしまっていたのかな(^w^)

でも、生地の清水は非常にまろやかだと言われています。
名前の由来が「絹のようななめらかな水が湧くから」だったとしても全く違和感がないです。何なら今からでも由来をこっちのほうに変えたらどうですかね?w


さらにもう一ヶ所、弘法の清水(四十物町)です。
これまで弘法の清水という名前の清水を2ヶ所回ってきましたが、弘法シリーズではこちらが最も新しくて清潔感があるような気がします。
しっかりとした建物の中にあって、水槽はステンレス製で3段階。

清水を訪れるたび、柄杓を持って味見する姉妹。
私よりも先に清水に着いて水を飲むもんだから、かなり高い確率で試飲のシーンが写真に入ってしまう(笑)。

ザバザバと滝のように水が流れています。
ここの清水は湧水量が多いのが特徴で、湧き出る水の量は1分間に500リットルで生地の清水の中では2番目に多いんだそうです。

町を歩いていると、家の庭に清水が湧き出ている、そんなご家庭も目にしました。
普通ならお金を出して買うようなレベルのとてもおいしい水が、庭でコンコンと湧き出るなんて、羨ましくないですか?しかもその水がいろんな用途に使えるのなら、もはや水道料金不要ですよね。
生地の清水は個人宅のものも含めると600ヶ所にものぼるそうです。

地区の観光拠点でもある道の駅、ならぬ、魚の駅生地。
すぐ隣の生地港で水揚げされた新鮮なお魚はもちろんですが、この施設にも清水があって、誰でも触れたり飲んだりができるようになっています。あまり時間がない人でも、こちらに立ち寄ればお土産も買えるし清水も楽しめるってワケです。


さて、ここまではどちらかというと飲み水や生活用水として活用されている清水を見て回りましたが、生地の清水の中には湧き水が池になっているところもあります。
月見嶋の清水がその代表例。

12世紀頃、この一帯には「越之湖」という湖が広がっていたそうですが、付近を流れる黒部川や片貝川の大洪水で埋まってしまいました。この月見嶋の清水は、その越之湖の名残だと言われています。
池はめちゃめちゃフォトジェニックってわけではないんですが、綺麗に整備がされていて、池の周りを散歩することもできます。これまでとは違う清水の楽しみ方かもしれません。



池には鯉が泳いでいるのですが、驚いたのは鯉のエサがご自由にどうぞなこと!少しだけエサをあげてみると、池中の鯉が集まる集まる。
おかげで娘たちにも少しだけ楽しい思いをさせることができました。

ってなワケで、黒部川扇状地に湧き出る「清水」の里、生地地区でした。
決して華やかな観光地ではないけれど、水の豊富な日本の、その中でも特に名水として名高い北陸富山の湧き水に直に触れられるし、そんな名水を好きなだけ飲み比べることもできちゃう、水マニア(そんな人いるのか?)にとってはとても面白いスポットだと思いました。
水を取り巻く自然や社会について、じっくりと学ぶことができるいい機会でもあると思います。お時間あれば是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

黒部川の地下水の神秘を味わえる場所

魚津埋没林博物館と、かつての杉林が残る「杉沢の沢スギ」/富山・黒部川の地下水の神秘を感じる場所
蜃気楼の街として知られている、富山県魚津市。そして、湧き水の町として知られている、富山県入善町。今回はそんな二つの町に共通する「地下水の神秘」にフォーカスを当ててお伝えしたいと思います!魚津市の海岸部は、今でこそ漁港が整備されて港町の風情が漂っていますが、かつては広大な杉の森が広がっていました。魚津の町を訪れると、とても森があったなんて想像できないんですが、その地中には今でも無数の杉の根っこが埋ま...
たまたま出会えた魚津の蜃気楼

魚津市の蜃気楼(Cランク)を見た!/初夏の風物詩、富山湾の神秘に触れて
富山湾って実に様々な神秘に溢れています。例えば、ホタルイカ群遊海面とか波打ち際を青く染める「身投げ」という現象。それにはるか昔の森林の様子を今に伝える埋没林。飲料メーカーの原材料としても使われている海洋深層水などなど。そして、今回お伝えする「蜃気楼」もその一つです。小さい頃から、富山の魚津という街で蜃気楼という非常に珍しい現象が見られる、ということをたびたび学校で習ってきて興味はすごくあったんだけ...
<生地地区の清水(神明町の共同洗い場)>
【駐車場】なし
【入場料とか】無料
【所要時間】1時間30分(地区内随所の清水めぐり)
【地図】
【リンク】
黒部観光ガイド(生地まち歩き)~越中黒部清水の里~
- 関連記事
-
-
長慶寺の五百羅漢と散り紅葉/立山連峰を見渡す地に並ぶ500余体の石像たち
-
高岡古城公園の紅葉/富山有数の紅葉名所!お堀に映る青空と紅葉リフレクション
-
黒部市生地地区の清水(しょうず)めぐり散歩/名水百選にも選ばれた黒部川の名水の里
-
高岡市伏木の名刹、国宝「雲龍山勝興寺」を訪ねる/23年間の大修理で蘇った歴史ある大伽藍
-
松川遊覧船で楽しむ川べりの桜並木/北陸を代表する桜名所、富山市松川べり
-
スポンサーサイト