30 2020

日本一の越前大仏と五重塔!勝山市清大寺を訪ねる/本気の「地元愛」が垣間見える屈指の巨大寺院

皆さん、越前大仏はご存知でしょうか?
その名の通り、旧越前国(現在の福井県北半分)にある大仏なんですが、いわゆる「大仏さん」として認知されている「座っている巨大な仏像」の中では、なんとこの越前大仏が日本で一番大きいということを、全国の何パーセントの人が知っているでしょうか。
日本一の大仏は、奈良の大仏でしょう?
そう思っている人が大半だと思いますが、実は日本一の大仏は奈良の大仏ではなく越前大仏なんです!

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実はこのお寺には、大阪・京都で巨額の富を成し遂げた一人の男の強い思いがこめられています。
このお寺は、その男の途方もなく巨額な私財を投じて建立されました。
しかし蓋を開ければ観光客は来ず、巨額の赤字を抱えることに。「なんでこんな無駄遣いをしたのか」と冷ややかな目線にさらされがちな清大寺ですが、その寺院規模は国内屈指で、大仏殿や五重塔などの多数の建造物を見るにつけ、ため息がでるほど立派なんですよ。

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市税滞納のためいったんは勝山市に差し押さえられ、境内の建造物は競売にかけられたものの、買い手がまったくつかず結局勝山市は巨額の滞納市税の納税を放棄した、行ってみれば「負の資産」です。
個人の想いが空回りした失敗例として今も笑いネタとして扱われている清大寺ですが、実は訪れてみると多田氏の本気の地元愛が伺える見事な寺院であることが分かりました。
今回の記事では、そんな清大寺と越前大仏をお伝えいたします!


2020年11月01日 福井県勝山市 大師山清大寺


越前大仏があるお寺は清大寺といって、福井県の山あいにある静かな街、勝山市にあります。
清大寺は古くからこの地にあったわけではなく、1987(昭和62)年建立の比較的新しい寺院です。
勝山で誕生し、後に大阪・京都でタクシー業を成功させ巨額の富を手に入れた相互タクシーの創業者多田清という人物が、なんと380億円の私財を投じて建立した寺院として知られています。
その目的は、生まれ育った地元の街に巨大な観光施設を作り、全国から多くの人を呼んで地元を潤わせたい、という多田氏のストレートすぎるほどの地元愛があったのかもしれません。
でも結果は空回りで大失敗。観光客はほとんど来ず、観光収入が得られないため市への納税もできず、売ろうにも売れず・・・。
地元を潤わせるために作った施設が、まさかこんなことになろうとは多田氏も思ってはいなかったでしょうね。

車を広大な駐車場に停めて、清大寺境内へ向かいます。
駐車場から境内へは、土産物屋が軒を連ねる「門前町」を歩きます。
かつては多くのお店があったのかもしれませんが、現在その大半が閉店していて、寂しげなシャッター街になっていました。
営業しているのはほんの2~3店。そんな中で、手作りのカステラやお赤飯などを振舞っていたお店だけは、ご主人の呼び込みが元気で活気がありましたね。
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門前町をしばらく歩いて右に折れると受付があり、ここで拝観料500円を払っていよいよ境内へ入ってきます。
ちなみに清大寺の拝観料は今でこそ大人一人500円とリーズナブルですが、建立直後はなんと大人一人3000円という、ちょっと信じがたい強気な高額設定だったようです。日本一の大仏ができたというニュースはセンセーショナルでしたが、この拝観料だと行こうという気にはちょっとなれないよね。

ちなみに下の写真、拝観受付が左手にあるのですが、その先にはめちゃくちゃ巨大な門が見えています。
この光景を見た時、その巨大なスケール感に「このお寺、尋常じゃないぞ」という思いがこみ上げてきました。
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清大寺の入口、「大門」です。
その名前の通り、メチャクチャ大きな門です!
建物自体は「新しい感」がすごくて、古刹などで長年の歴史から感じる重厚感というものはありません。でも大きさだけはハンパなく、これまで見てきた大寺院の門さえもがチッポケに思えるくらいの大きさでした。
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大門の前には6体の仏像が。
境内にはこのような像がアチコチに安置されています。
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大門と、清大寺のシンボルでもある五重塔。
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寺院の山門に必ずある仁王像。清大寺も例外ではなく、大門の左右に立派な仁王像が安置されていました。
こちらの仁王像は中国は福建省で3年半かけて造られたものが天津の港から三国へ運ばれ、そこで陸揚げされて大型の貨車で運搬され・・・と、とにかく安置が大変だったみたいなことが説明版には書かれていました。
さすがに比較的新しい寺院だから、仁王像も痛みが少なく感じます。今でこそボロボロになったあの有名なお寺の仁王像も、かつてはこんなに綺麗な姿だったんだろうなぁと思いを馳せます。
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大門をくぐって振り返る。
門の下に写っている豆粒みたいな人と比べてみてください。
いかにこの門が大きいかが分かっていただけるのでは。
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大門をくぐると続いてまたまた巨大な門が眼前に現れました。
何なんだ、このお寺の立派さは!本当に圧倒されてしまいます。
こんどは「中門」という門らしい。
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ここまでの写真でお気づきかと思いますが、このお寺、とにかく人が少ない!
この日は一応秋の行楽シーズンの週末で、GoToキャンペーンなんかもあって観光地はそれなりに賑わっているハズなんですが・・・。
清大寺境内には僕ら家族を含めて10人もいなかったように思うんですよね。
あまりにも巨大な伽藍、そしてガラン(伽藍なだけに)とした境内、このギャップの激しさこそが清大寺の見所(?)かもしれません。

「何故こんな無駄なものを造ってしまったのだろう」と思うかもしれませんが、でも建物が無駄にデカい以外は割と真面目に作られているお寺な気もします。
悪ふざけを感じるような場所はほとんどなくて、結構「お寺お寺しい」(すごくお寺っぽいという意味の私が作った造語)写真が撮れたりもします。
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さていよいよこのお寺の目玉でもある越前大仏とのご対面です。
巨大な大仏様を風雨からお守りするための大仏殿もこれまた非常に巨大で、中門をくぐって眼前に現れる超巨大な建造物に腰を抜かしそうになりましたよ。
いやホント、冗談抜きで日本の寺院でこれほどまでに立派な建造物をいまだかつて見たことがありません。
ホント、デカい!もう異世界空間です。
ただ、いかにもコンクリート造りってのが残念でしたね。東大寺大仏殿みたいに木造建築ならば見方が変わっていたと思います。
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こちらが清大寺の主役、越前大仏。
モデルとなったのは毘盧舎那如来(びるしゃなにょらい)という仏様らしく、これはあの有名な奈良大仏と同じ仏様のようです。でもそのお顔つきは奈良大仏とは随分違う気がします。
像の高さは17mで、奈良大仏14.7mを凌ぐ高さ。座っている仏像としてはこの越前大仏が文句なしで日本一の規模を誇ります。
ただ、大仏を取り巻くあらゆるものの規模がとにかくデカいので、こうやって大仏を正面から撮った写真ではそのスケール感はあまり出ません。
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少し引いた感じがこちら。
人が写っているからスケール感は分かるかな。
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ちなみにこちらが奈良大仏。
より光り輝いているのは古い奈良大仏のほうでした。これが世界遺産として手厚く保護されている大仏と、コストカットのため必要最低限のメンテナンスしか受けられない大仏との違いなのでしょうか。
なお、より人間らしいお顔なのは越前大仏のほうですね。
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(2019年12月30日撮影)


大仏の両脇には2体ずつ計4体の立像が安置されていて、これもなかなか迫力があります。
大仏に向かって右側にあるのが阿難羅漢と普賢菩薩、左側にあるのが迦葉羅漢と文殊菩薩。
僕にはさっぱり分かりませんが、とにかくいずれも有名な仏様なんでしょう・・・ということにしといてください。
いずれも高さは10m以上もあります。
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外から見た時も思いましたが、大仏殿はとにかくスケールが大きい。
大仏もデカいんですが、大仏殿の豪華さにも圧倒されてしまいました。
下の写真でもわかるかと思いますが、階段があって入口の上、やや高い場所から大仏を眺めることも可能です。
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ついつい大仏に目が行ってしまいますが、よく見ると大仏殿内部の壁面には無数の小さな仏像が安置されているんです。
壁全面が小さな仏像で埋め尽くされています。ちょっと想像を絶する数です。
案内板によると、その数は1281体なんだとか。
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続いて清大寺が見所として強く推している「九龍壁」。「九龍殿」という屋根付きの建物で保護された、テッカテカの陶器でできた壁。
簡単に人が近づけないよう、透明の壁で完全に保護された環境にありました。よほど強力に保護したいんでしょう。
何でもこの九龍壁、中国の国宝第一号に指定された歴史遺産を模倣して造られた日本で唯一の装飾壁なんだそうです。
それって何か知らんがすごいものかもしれない!と思っちゃいますが、これまで紹介してきた超巨大で分かりやすい門や大仏殿、それに越前大仏のインパクトに比べれば大したことなくて、「ふ~ん・・・。で??」ってドライな感想を抱いてしまいました。
ひょっとすると、見る人が見れば「おぉ、すげぇ」ってなるのかもしれませんけど、僕的にはここはスルーしてしまってもいいスポットだと思いましたね。
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そういえばこの2020年は北陸地方の平地でしょっちゅう熊が出没し、人的被害があったことも多く報じられました。
僕の住む石川県では、近い将来北陸新幹線が停車するような立派な駅の駅前にあるショッピングモールに、一頭の熊が立てこもるという、かなりショッキングなニュースが全国に報じられましたっけ。
この清大寺でも熊に対する警戒は強かったです。山に接した日本庭園があるんですけど、いつ熊が出てきてもおかしくないので、これ以上奥へは立ち入らないようにとの注意書きがされていました。
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木々が色づく頃です。完全に紅葉すれば意外と綺麗な光景が楽しめるかもしれません。
ここ清大寺が紅葉名所として広く知られればいいんですけどね~。
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さて、いよいよ清大寺の伽藍のシンボルとも言える「五重塔」です。
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日本各地に新旧様々な五重塔が建立されていますが、ここ清大寺の五重塔はなんと高さ日本一を誇ります。
塔の高さは75mで20階建てのビルに相当。五重塔で日本一有名な京都東寺の五重塔が54.8m、関東で有名な浅草寺五重塔が53.3m。それらに比べて20m以上も差をつけて勝っています。
塔の目の前に立つと、やはり高さに圧倒されてしまいます。
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五重塔は内部も一般公開されています。
と言っても、歴史的な価値はなくて鉄筋コンクリート造りだから、その中はごくフツーのコンクリート壁に囲まれた空間。暗くてちょっと冷たい感じがするかな。
各階には仏像が安置されていてお参りしながら上階へ向かってもいいんですが、それらをすっ飛ばして文明の利器エレベーターで一気に最上階へ向かう人が大半だと思います。
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五重塔最上階の展望台からは、清大寺境内と勝山盆地が一望できます。
時期的に銀杏の木が黄葉を始めたくらいでして、黄色く染まった木がアクセントになっていました。
左の巨大な建造物が大仏殿。その手前にあるのが九龍殿。右側に中門が写っています。
写真の中央に写っているお城のような建物、これは勝山城博物館といって、なんとこれもこの清大寺を建てた多田氏によって造られたものです。
あの姫路城を凌ぐ日本一高い天守「風」建造物であり、中は博物館になっているそうです。
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左から中門、大門、そして門前町が写っています。
もう2週間ほど後ろに時期をずらせば、周りの山々も紅葉して晴れていればそれなりに綺麗な眺めになるのかもしれません。
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上からもよく見えていましたが、境内にはたくさんの銀杏の木が植えられていて、秋が深まると黄葉します。
清大寺が一番綺麗なのは、やっぱり木々が紅葉する晩秋の時期なのかなって思いました。
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ってなワケで、日本一の大仏・五重塔がある、勝山市の清大寺でした。
故人である多田氏は一代で巨額の財を成し、「地元に少しでも還元したい」というかなり真面目な動機でこの寺院を造りました。
でも残念ながら人の呼び込みはうまくいかず、閑散とした境内と巨大すぎる建造物のギャップを楽しむ「B級スポット」の評価を受けています。
でもいざ訪れてみると、想像していたよりもかなりマトモな寺院であることに気が付くと思います。

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越前大仏は巨額の富を成した多田氏を象徴しているため、「出世大仏」の異名を持ちます。
これから一儲けしようかと考えている人たちは、そのご利益を授かるのために一度このお寺を訪ねてみてもいいんじゃないでしょうかね~。



<大師山清大寺>
【駐車場】あり(無料)
【入場料とか】500円
【所要時間】1時間

【地図】


【リンク】
越前大仏公式ホームぺージ
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福井県 勝山市 神社仏閣 展望台 紅葉 並木 日本庭園

2 Comments

まっさ  

Re: タイトルなし

新年あけましておめでとうございます。

福井の越前大仏は地元の人もあまり多くを語らないB級スポットと言われていますが、実はかなり真面目に作りこまれた寺院なんだということが分かります。
大門や大仏殿、それに五重塔はかなり迫力があるので、一度訪ねてみるといいと思いますよ。
あと、ここまで来たならついでに苔で有名な平泉寺白山神社もすぐ近くですので立ち寄ってみてくださいね(どちらかというと平泉寺白山神社のほうがメインの訪問先になるかも!?)

本年もよろしくお願いいたします(^^)

2021/01/02 (Sat) 18:07 | EDIT | REPLY |   

ぽてとぉ~  

まさかまさか福井県にこんな巨大な大仏があるなんて、想像もしておりませんでした( ゚Д゚)!
わたし自身も奈良の大仏が日本一と思っていただけに来年は絶対訪れて拝んでいきます。

今年1年いろいろと大変な年となりましたが、お互い無事に年を越せることをとても嬉しい気持ちでいっぱいです。
来年もまだまだコロナの影響が続くと思いますが、お体に気を付けてください
まっささん素敵な写真日記は、わたしのカメラライフにとってすごい刺激になりますので、無理をなさらず素敵な写真を紹介していってください。

今年1年、本当にありがとうございました。

2020/12/31 (Thu) 17:30 | EDIT | REPLY |   

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