06 2020

越ノ潟フェリーと新湊大橋「あいの風プロムナード」/無料でプチ船旅!分断された地区を結ぶ地域の足

富山県の観光名所、「海王丸パーク」で知られている射水市の新湊地区
日本海側屈指の拠点港湾、伏木富山港の一部である富山新港が整備され、日々貨物船が行き交う活発な港であり、また日本海の新鮮な魚介類の水揚げ港としても知られています。

港の開口部には美しい斜張橋である新湊大橋が架かり、昼夜を問わず綺麗な写真が撮れるスポットとして人気のあるこの地ですが、橋の下の小さな船着き場からは、橋が開通した今でもせっせと小さな「渡し船」が就航しているのはご存知でしょうか。
港の整備により完全に分断されてしまった越ノ潟地区と堀岡地区を結び、「越ノ潟フェリー」という愛称で親しまれている富山県営渡船です。

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今では港の両岸を結ぶ交通の大半は新湊大橋が担っていますが、歩行者がこの橋を渡ろうと思うとちょっとシンドイですよね。
それに比べて船なら僅か数分で対岸にたどり着けます。
その利便性の高さから、橋が開通した今でも現役バリバリの交通手段として生き残っているんですね。

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海王丸パークや内川の遊覧船など日の光の当たる船旅もいいですが、地域の住民の気持ちになって乗ることができる地域密着型のプチフェリー旅もなかなかオツですよ。
ってなワケで、今回は久しぶりにこの珍しい渡し船に乗り返してみたいと思い新湊を訪ねた時の記事です。

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(当ブログ久々登場の息子も一緒です)


2020年02月24日 富山県射水市 越ノ潟


2012年に開通した巨大な斜張橋「新湊大橋」は、海王丸パークなどからその雄姿が楽しめ、富山県を代表する景観を作り出しています。
富山を紹介するシーンでたびたびこの橋が出てくるので、北陸以外の方も写真や映像で目にする機会が多いんじゃないかと。
この橋の下は富山新港の開口部になっていて、富山新港という大きな港と日本海の大海原とを結ぶ航路になっています。
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(海王丸パークから眺めた新湊大橋 2020年01月26日撮影)

今でこそ新湊大橋はごく当たり前の存在になっていますが、かつて富山新港が造られるよりも前の時代からは様相が一変しています。
今の富山新港はもともとは「放生津潟」(ほうしょうづがた)という潟湖(砂丘などによって海と分離された割と浅い湖)であって、海と潟湖を隔てる陸地の上には線路が敷かれ、今の万葉線が走っていたようです。
港の開口部を挟んで位置する「越ノ潟地区」と「堀岡地区」は、かつては鉄路や道路で結ばれていたのですが、富山新港建設の際に大きく開削されて分断され、陸路も東西に切断されてしまいました。
当然のことながら徒歩での両地区の往来が難しくなったことから、富山県が両地区を結ぶ渡し船を就航させました。
これが「越ノ潟フェリー」の始まりです。
越ノ潟フェリーは、新湊大橋開通のタイミングで廃止も議論されたようですが、なんだかんだ言って橋を渡るよりも船で渡ったほうが遥かに人(特に高齢者の方々)に優しいので、今でも現役バリバリの地域の足として活躍しています。



越ノ潟フェリーの西側の船乗り場は>「越ノ潟発着場」
高岡市街地からやってくる万葉線の終着駅「越ノ潟駅」の至近距離にあります。
下の写真、左側が万葉線の越ノ潟駅、そして右側が越ノ潟発着場ですが、鉄道と船がこれほど近接していることからお分かりの通り、高岡からの万葉線電車を降りてすぐに堀岡行きの船に乗れるようなダイヤが設定されています。
時刻表によると、電車と船の接続時間はわずか3分!
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越ノ潟駅は無人の小さな駅ですが、路面電車にしてはちゃんとした待合室もあって立派なほうかなとも思います。
駅舎は比較的新しくて温かみも感じます。観光地としての色気が少しだけ感じられる駅かな。
かつてはこの先の堀岡地区、そして富山市に向かって線路(富山地方鉄道射水線)が続いていたのですが、今はここで途絶えています。
駅のホームのそばにある小さな車止めが、ターミナル(終着)駅であることを示しています。
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電車がやってきた!
少し鄙びた感じのするこの辺りの景観に似つかわしくないくらい、近代的で洗練されたデザインの車輌ですね。
路面電車と呼ぶよりも、「トラム」とカタカナで表現したほうがしっくりきます。
このようにどんどん路面電車が「進化」しているシーンを見ると、路面電車王国とやまを感じずにはいられません。
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越ノ潟駅から徒歩僅か30秒で、越ノ潟フェリーの越ノ潟発着場へ。
こちらの発着場は越ノ潟駅と違ってちょっと古臭くて全く色気が感じられません(笑)
まぁ、地域の足に色気は必要ないってことでしょうかね。
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こちらは越ノ潟フェリーの堀岡行き時刻表です。
付近に目立った街があるワケではないので、運行間隔は田舎のバス路線みたいな感じかなと思っちゃうのですが、実はそうでもないんです。
朝夕の通勤時間帯は15分間隔、日中も30分間隔で運行されているのが時刻表から分かります。
想像以上に高頻度!
北陸新幹線を凌ぐ運航頻度だ(笑)。
そして下の写真からも分かる通り、越ノ潟フェリーは運賃が無料なんです。
つまり、無料で船に乗れるんです!
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越ノ潟フェリーとして運航されている船は2隻あります。
ひとつは薄緑色をした「こしのかた」、そしてもうひとつはオレンジ色をした「海竜」。今回僕らが乗ったのは「海竜」でした。
越ノ潟を出た船は堀岡に到着後、すぐに逆方向へ向かうお客さんを乗せて、越ノ潟に戻ってくるという運航体系のようです。
越ノ潟についた船は次の出航に向けて手際よく準備が進められ、出航時刻になると再び堀岡に向かいます。
越ノ潟と堀岡の間は800メートルほどあって、所要時間はわずか5分程度。出航すると、座って一息入れる暇もなくあっという間に着いてしまいます。
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この船には僕を含め10名強くらいのお客さんが乗り込みました週末だからか、思っていたよりも人が乗っていましたね。
お客さんは地元の人というよりも、どちらかというと観光客がメインでした。
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けたたましいエンジン音を鳴り響かせ、「海竜」は定刻通りに越ノ潟発着場を出航しました。
これよりわずか5分ですが、無料のプチ船旅が始まります!
短い船旅とはわかっていても、なんだかワクワクすっぞ!
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越ノ潟フェリーの見所はたった一つだけ。それは船から見上げる新湊大橋です。
この橋を富山新港側の海上から見上げるシーンはなかなかに新鮮!このフェリーに乗らないと味わえない感覚です。
しかも結構結構迫力ある!
大きすぎて広角レンズじゃないとうまく収められません。
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陸側に目をやると、富山新港の港湾設備や発電所が目に入ってきます。
コンテナ船の積荷を扱う巨大なガントリークレーンとか、発電所の煙突とか。
決して綺麗な景観ではないけれど、重要港湾の「経済を回している感」がとてもよく感じられますね。
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乗船からわずか5分で、対岸の堀岡発着場に到着です。いや、本当に早い。
もし船の上でコーヒーでも飲むかと缶を開けたなら、ほとんど中身が減ることなく到着を迎えてしまうでしょう(笑)。
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堀岡は越ノ潟に比べてさらに簡素な感じの設備で、初めて訪ねた人はパっと見た感じじゃここが船のターミナルだとは思わないでしょうね。
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堀岡で「お!」と思ったのは、そこから見上げた新湊大橋です。
堀岡はまるで時が止まったかのような古くからの静かな港町ですが、その集落の上空にめちゃくちゃ立派な真っ白な橋が聳えているのです。
少し鄙びた集落と最新技術を結集させた橋との不思議なコラボレーションが、ちょっとだけ気に入りました。
堀岡は新湊大橋のシャッタースポットとして「アリ」かもしれませんね。
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さて、越ノ潟から5分のクルーズを楽しんで堀岡に来たのですが、戻りも同じように船に乗るのではちょっと味気ない感じがするので、帰りは徒歩を選びました。
ご存知の方も多いでしょうが、新湊大橋は車道だけでなく歩行者専用通路も設けられた二階建て構造になっています。
その歩道部分を歩いて越ノ潟に戻ることにしました。
新湊大橋の歩道部分は「あいの風プロムナード」というシャレオツな名前がついています。
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橋の車道の下、ガラス張りっぽく見えているのが長さおよそ480mの「あいの風プロムナード」です。
かなり高いところまで登っていく必要がありますが、専用のエレベーターがあるのでどなたでも簡単にウォーキングを楽しむことができます。
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ところで、富山県では「あいの風」という単語をちょくちょく耳にします。新湊大橋の歩行者専用道路「あいの風プロムナード」もそうだし、北陸新幹線開業時にJRから分離した元北陸本線富山県部分「あいの風とやま鉄道」もしかり。
この「あいの風」というのは一体何なのかと気になって調べてみたら、初夏から夏にかけて北陸地方に吹く穏やかな北東風で、北陸に豊かな実りや収穫・漁獲をもたらし、人々をHappyにさせる魔法のような風のことなんだとか。
確かに5月や6月、新緑に包まれた晴れた日は、本当に爽やかで柔らかな風が吹き、僕もそれに吹かれるのがとても好きだったりします。
あいの風プロムナードは風が吹き晒しの構造ではないのですが、外気を感じながらのウォーキングコースになります。
その名前にある通り、初夏の爽やかな風吹く季節に歩くのがオススメかもしれませんね(^^)。

さて、実際どれだけ楽しい空中散歩になるんだろうと胸を躍らせる人も多いでしょうが、ぶっちゃけそこまで媚びた道路ではない(笑)。
およそ500mの通路がまっすぐ伸びているだけです。
一応窓から外の景色は見えるのですが、その視野がかなり下向きに広がっている感じで、立山連峰とか富山湾とかのものすごい大パノラマを味わえるワケじゃあ決してないんです。
せっかくこんな立派な橋を作ったのに、展望施設としてはちょっと物足りない。これはちょっと残念かもしれません。
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日本海側を見るとこんな感じ。
もう少し水平方向の視野が楽しめればいいんですけどね~。
ちなみにもしまっすぐの視界が得られれば、能登半島や立山連峰がものすごく綺麗に見えること間違いなし。
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エレベーターホールは少しだけ展望が楽しめます。
この日は天気がよく、雪を被った立山連峰が若干うっすらだけど見えました。
安全対策や破損防止のためか窓には鉄線のようなものが入っていて、それがどうしても写ってしまいます。
スマホみたいな小さなレンズなら、鉄線を入れずに撮ることができるかも。
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それにしても、堀岡の乗り場から越ノ潟まで、あいの風プロムナードを経由した徒歩だとそれなりに時間がかかります。
観光客にとっては楽しいひとときになるけれど、これが毎日って言われるとちょっと困るかも。
これだったら、橋を渡るよりもフェリーの時間を待って乗ったほうがいいかもしれませんね。
越ノ潟フェリーがあるからこそ、両地区が昔とあまり変わらぬ所要時間で往来することができるのです。
このフェリーは無くすことができない地域の足なんだと、改めて知ることができました。
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ってなワケで、越ノ潟フェリーとあいの風プロムナードでした。
時代は平成から令和に移り、立派な橋を渡ることが普通になりましたが、それでも全く変わることなく渡し船が地域の足として活躍を続けているとても貴重な例です。
今では自動車交通が発達し、短い距離を結ぶ渡し船の需要は少なくなってしまいましたが、どことなく昭和のノスタルジーを感じる越ノ潟フェリーには、これからも活躍を続けてほしいと思います。
また乗ろう!
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<富山県営渡船>
【駐車場】あり(無料)
【入場料とか】無料
【所要時間】40分(船と新湊大橋徒歩による往復散歩)

【地図】


【リンク】
富山県営渡船(富山県)
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