06 2019

石川と福井の県境がとても不思議!越前加賀県境の館と吉崎地区の県境を撮る

2019年05月25日 福井県あわら市・石川県加賀市 越前加賀県境の館


石川県と福井県の県境に吉崎という町があります。
歴史が好きな人なら、かつて蓮如上人が浄土真宗布教のベースとして築いた「吉崎御坊」がある町と言えば分かるかもしれませんね~。
かつては日本屈指の宗教都市ということで、遠方からも浄土真宗の門徒が訪れ栄えた吉崎ですが、今はかつてのような賑わいはなく、ちょっと物寂しい雰囲気漂う観光地って感じになっています。
ところで、この吉崎という町はとても面白い町でして、ある分野のマニアと言われている人たちの間ではそれこそ日本屈指の名所らしいんです。
今回は、その「ある分野」においてとても魅力的で楽しい、そんな吉崎をブラリ散歩してみました。


吉崎の新しいシンボル的な建物がこちら。
吉崎やその付近のエリア、そして蓮如上人の情報発信の場として、2015年に建てられた「越前加賀県境の館」です。
一見すると、なんの変哲もない観光案内所のようですが、この建物には驚くべき秘密が・・・!!(「秘密」ってほどでもないね、名前でバレちゃうから)
20190525133302.jpg


な、な、なんと!
建物の玄関が県境になっているではないかぁ!

20190525133654.jpg


玄関から建物の中に入りました。
すると、正面に見える大型の窓を挟んで左に福井県あわら市、右に石川県加賀市と書かれています。
20190525135401.jpg

そう、吉崎が面白いのは、その町というか集落のど真ん中に石川県と福井県の県境が通っているんです。
しかも県境はシュっと直線で引かれているわけではなく、集落の中でウネウネと曲がりくねりながら引かれていて、話によると自分の家の庭に県境が引かれてしまっているご家庭もあるんだとか。
そして、その県境をまたぐように建てられたのが、この「越前加賀県境の館」なんです。
ちょうど県境に玄関がくるように設計して作られたという話で、建物に入るや否や(というか入る前から)県境が意識できる作りになっています。


そのまま視線を床に移せば、床が県境で2色に色分けされていて、とても分かりやすく県境が表現されていました。
簡単にまたぐこともできます。
20190525133753.jpg


下の写真では県境から少し左にずれたところに何か置物というかモニュメントが写っていますよね?
モニュメントに描かれている絵からも分かる通り、これはこの地で行われている両県の綱引き大会の勝敗をもとにした県境です。
石川県加賀市vs福井県あわら市の領土を賭けた熱い綱引き大会は毎年越前加賀県境の館前で開催され、勝ったほうが自分の領地を1m広げることができるというシステムです。
2019年5月の時点ではリアルの県境に比べてやや福井県側にモニュメントが置かれていました。
つまり、今のところ石川県のほうが勝っていて、領土を少しだけ福井県側に広げているようです。
頑張れ、我が石川!
20190525134456.jpg

では、もっと吉崎の県境を見ていきましょうか!


県境の館の玄関とは反対側は、北潟湖に面しています。
ここからの眺めは決して「絶景」というほどのものではないのですが、ボーっと眺めるにはいいところかもしれません。
20190525133400.jpg


ですが、見てほしいのは北潟湖の眺めではなく、県境です。
湖の畔には「県境」の石碑が立ち、2色のラインが引かれていました。
この石碑とラインを境に右側が石川県、左側が福井県です。
県境のラインは屋外でもとっても分かりやすい!
20190525133436.jpg

20190525133506.jpg

20190525133520.jpg


そしてその県境のラインが県境の館まで引かれていて、県境が建物を貫いている様子が分かります。
下の写真だと、左側が石川県、右側が福井県です。
建物の窓越しに玄関の自動ドアが見えています。つまり玄関の中央が県境だというのが下の写真を見てもわかりますね。
20190525133542.jpg



吉崎地区の模型が展示されていました。
興味深いのは模型の中に赤い線で県境が示されていることです。
吉崎地区の県境はまっすぐでもなく、特定の道路に沿って引かれているわけでもなく、とにかくグネグネと曲がりくねりながら集落を貫いているのがよく分かりました。
どのような経緯でこういうラインになったのかは分かりません。何か大人の事情があったんでしょうかねぇ。
そしてこの模型を見て一つ言えるのは、まるで県境っぽくないところに県境が引かれているということです。
20190525134200.jpg

これは面白そう!
県境の館だけでなく、吉崎の集落を歩いて県境を見てみようではないか!

ってなワケで、越前加賀県境の館を出て、県境の町吉崎を少しだけ歩いてみることにしました。


集落を南北に国道305号線が走っています。
この道は石川県方面から福井県の東尋坊や芝政などの観光地に行く時によく使われる観光ルートで、一度は通ったことがあるという人も多いと思います。
国道305号線を走っていると、ちょっとゴチャゴチャっとした集落の中に突如まさかの県境の標識が現れるんですよね。
この県境には違和感しか感じません。
20190525140554.jpg

20190525141136.jpg


通常、県境というのは例えば山の稜線とか川とかに引かれていて、「ここを越えれば県を越える」というのが何となく体感できるというか、見た目にハッキリしている場合が多いんですが、吉崎の県境はどこに県境が引かれているかがほとんど分かりません。
ってか、全く分からないんです。
なので、スマートフォンのGoogleMapに引かれている境界線を頼りに、県境を撮ってみました。



まずはこちら。
車が通れないような細い路地があり、その横を流れる側溝というか小さなドブ?溝?が県境になっているようです。
狭い道を挟んだ家どうしは、きっと世間一般で言うところの「ご近所さん」「お隣さん」「お向かいさん」に相当すると思うんですが、実は県が違うというのが驚きです。
左に住む人は福井県民、右側に住む人が石川県民。このほっそい路地が実はとてつもなく大きな境目になっているんですね。
20190525140658.jpg


路地があればまだいいほうです。
下の写真のように、路地もなくて家と家の敷地の境目が県境になっているケースも吉崎には結構多いです。
な、なんでここが県境になってしまったんでしょう??
20190525141208.jpg



下の写真3枚を見て、誰がここに県境があると思うでしょうか。
民家と民家の境目、場合によっては塀も垣根も何もないところに、実は県境が引かれています。
例えば皆さんが何気なく窓を開けたとしますよね?自分の家の庭が見えて、そのすぐ先にはお隣さんの家が見えたとします。
そのお隣さんは、自分と同じ市民で自分と同じ町内会で、子供たちが通う学校は一緒だというのはほぼ疑わないでしょう。
違うとすれば番地がいくらかズレていることくらいだと思います。
しかし、吉崎の場合はお隣さんが他県民なんです
20190525140757.jpg

20190525141009.jpg

20190525135858.jpg


吉崎の町を歩いていると、あまり県境というものを意識することはありませんでしたね~。
唯一県境を意識するスポットは町を走っている国道305号線の標識くらいなもので、それ以外はどこに境界があるのか地図を頼らないと全く分かりませんでした。
むしろ県境など全く意味のない境界線に思えてなりませんでした。
ちなみに吉崎の子供たちは、福井県あわら市の学校に行くか、それよりも距離の近い石川県加賀市の小学校に行くかを選択することができるみたいなので、お隣さんが他県民であっても、もしかしたらその子供たちは同じ小学校に通っているかもしれません。


吉崎御坊と鹿島の森


せっかくなので、県境だけでなく吉崎周辺の見所を回ってみましょう。
吉崎の集落のすぐそばにある小高い丘の上に、かつて蓮如上人が浄土真宗の布教の拠点とした吉崎御坊跡があります。
ちなみに吉崎御坊跡までは車でもアクセスが可能です。
多少狭い道ではありますが、吉崎の集落から一気に丘を駆け上がったところに御坊跡があり、短時間でアクセスできました。
吉崎御坊跡は史跡公園として綺麗に整備されていました。
20190525141727.jpg


かつてここには御坊の様々な建物が建っていたという話ですが、その面影は全く残っていません。
今は蓮如上人像がデーンと立っているのみです。
20190525142444.jpg

20190525142502.jpg


吉崎御坊跡から見下ろした付近の様子。なかなか眺めがいい!
こんもりとした緑の丘は、国の天然記念物に指定されている「鹿島の森」という原生林。
その手前が北潟湖で、奥が日本海です。
蓮如上人もこの景色が好きだったんだとか。
20190525142244.jpg



鹿島の森もちょっと気になるスポットなので行ってみましょう!
大聖寺川の河口付近にあって、もともとは北潟湖に浮かぶ島だったのが陸地と繋がって陸繋島になっています。
数百年の間斧が入っていないと言われていて、暖地性植物群の本来の自然な姿を残す、とても貴重な場所なんだとか。
20190525143313.jpg


案内板にも書かれていますが、ここは石川県加賀地方で最も美しく、自然度の高い森。
森の中は一周約600mの遊歩道が整備されていて、気軽に散策を楽しめます。
20190525143615.jpg



こちらが鹿島の森の中。
鬱蒼とした緑が生い茂り、THE 原生林!って感じです。
遊歩道は整備されていますが、確かに森には手が入ったような痕跡がなく、自然に任せて緑が育っている感じがしました。
20190525143721.jpg

20190525144025.jpg


驚くことに、森の中には大量のカニが住んでいるんです。
アカテガニといって、その名の通りハサミが真っ赤な色をした小さなカニ。
人間の足音を察知して、カサカサ・・・コソコソ・・・と動くのが分かります。面白いんですが、ちょっと不気味でもある(笑)。
こういったカニが住み着くことができるということは、それだけ自然が残されているということでしょうか。
20190525144053.jpg


ってなワケで、石川・福井の県境、吉崎地区のご紹介でした。
吉崎は、県境のテーマパークみたいなものだと思います。
北潟湖・大聖寺川の河口など地形を生かした県境もあれば、すぐそばには集落の中の不自然な場所に県境が引かれていたり、県境が建物を貫いていたり。
この町を歩くと、これまで抱いていた「県境」のイメージがガラっと変わりましたね~。
20190525134609.jpg



<越前加賀県境の館>
【駐車場】あり(無料)
【入場料とか】無料
【所要時間】45分(付近の散策を含む)

【地図】



【リンク】
越前加賀県境の館(あわら市公式サイト内)
関連記事
スポンサーサイト



福井県 あわら市 石川県 加賀市 子供向け 展望台 海岸風景

0 Comments

Leave a comment